第6話
優しそうなマスターだが、謎が多く意味が分からない人でもある。
なぜだか裏のこともそれなりに知っているし。
だが、裏の人でもない。
表の人とも言えないし。
ミステリアスな人?と言うのだろうか。
喫茶店には仕事がない限り毎日行く。
完全に常連さんだ。
メニューも暗記してしまうほど。
新しいメニューがあるとそれを凝視してしまう。
無意識に暗記しようとするらしい。
仕事がない今日も喫茶店に行く。
ドアを開けるとカランとなる音。
この音が一番好き。
昔ながらの音というのだろうか。
最近だとあまり聞かない音だ。
「いらっしゃい。凛ちゃん。いつもの席にどうぞ」
「うん」
いつも座るカウンター席に座る。
楓の一枚板でできたカウンターはオイル仕上げで楓の木目が非常に綺麗に出ている。
ウレタン塗装と違って手触りもいい。
厚みもあって今の時代では中々手に入らない逸品だろう。
この喫茶店の家具はどれも素晴らしい逸品だと思う。
前の人の趣味らしいが。
一枚板なんて金額が桁違いのはずだ。
それを趣味で集めるだなんて。
お金に余裕がないとできない趣味だ。
「今日は学校早いね」
「うん」
いつも通りにニコニコと笑顔で迎えてくれたマスター。
マスターの手元にはたくさんの道具と材料が置かれていた。
何か作っていたみたい。
料理って大変ね。
そんなにたくさんの道具を使うなんて。
それも結構、力を使うようだし。
チラッともう一度手元を見る。
マスターの手って綺麗よね。
男性の手ってもっとゴツイものだと思っていたから。
女性のように細いから繊細な飾り付けも得意そうだ。
いや、実際得意他のだろう。
「そっか。新作のケーキあるんだ。食べる?自信作でもある。今日は、それで一日が終わりそうだよ」
「うん」
マスターは笑顔で準備する。
出されたのもはチョコレートケーキ。
作っていたのはこのケーキ?
普通のとは違う。
上にパウダーがかかっていてチョコのクリームがちょこんと乗っている。
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