第17話 猫と兎の買い物(2)- Side:黒猫 歌鈴(ダンジョン:星空橋)


 ダンジョンにおける私のアバターは『獣人種アニマ』の『猫人族フェリス』。

 黒猫がモチーフになっている。瞳の色は琥珀アンバーだ。


 身軽さが売りで、柔軟さに加えて、素早い動きを得意とする。

 そのため、ダンジョンでは主に偵察役を任されることが多い。


 猫人族フェリス敏捷びんしょう性と鋭い感覚をかし、先行して危険を察知すると同時に、チームへ報告するのが役割だ。


 暗闇でも見通せる目を持つことや隠密行動が得意な点については、誰もが想像するところだろう。よって、私の探索者としてのクラスは『破砕者ブレイカー』。


 状況を打破する者――ということで『戦術的な打破者』や『技術的な打破者』という意味合いを持つクラスだ。


 戦場や危機的状況で、冷静かつ迅速じんそくに戦術を立て直し、敵の計画を崩す。

 高度な技術や知識を駆使して、ダンジョンの罠や障害を取り除き、新たな道を切り開く。


 そんな役割が期待されているのだけれど――


(当時の私は、ちょっと厨二病的なモノに憧れていたからなぁ……)


 今は選んだことを後悔している。当然、戦闘面でも期待されているので、中距離タイプの『オールラウンダー』といった役割が妥当だとうだろう。


 状況に応じて、武器を使い分ける必要があった。

 そして、セーカくんとフーカちゃんが、その辺を考慮して選んでくれた武器が――


 1)マナブレード:MPを消費して、刃を作り出す(120,000円)。

 2)ブラックダガー:攻撃力は低いが、機動力が活かせる(20,000円)。

 3)マナブラスター:MPを消費して、弾を発射できる銃(150,000円)。


 の3つである。もう、金額については考えないようにしたい。この他にも「持っているだけでいいから」と煙幕や閃光弾、毒薬や電撃を放つ鞭を買ってもらった。


(たぶん装備の質だけなら、中堅探索者だよ……)


 実際のレベルは、まだ一桁台である。

 戦闘時、どの程度動けるのか? また、武器は使えるのか?


 装備を変えたことにより、ステータスはどの程度向上しているのか?

 それらを確認するためにも、実践訓練というワケだ。


 私たちは買い物の後、訓練場に来ていた。案内された部屋の広さは「バスケットボールのコートくらい」といったところだろう。


 天井の高さもそれなりにあって「動き回るには十分な広さだ」といえる。

 私たちが入ってきた扉――その丁度向かいにも――対になるように扉が存在した。


 聞いた説明によると、そこからモンスターが1体ずつ出現するらしい。

 私がそれをむかつのだ。


 この施設では、モンスターの買い取りも行っているらしく、探索者が生け捕りにしてきた低レベルのモンスターを集めている。それが対戦相手というワケだ。


 探索者は好きなモンスターを選んで、戦闘訓練を行える。

 動物虐待のような気もするけれど、基本的にはグレーゾーンだ。


 モンスターを実験台にして、様々な研究を行っている施設もあるらしい。

 一般的にモンスターは、時間とともにダンジョンから自然発生する。


 そのため、絶滅はしない。また、放って置けば地上へ進出するため、非常に危険だ。現状ではモンスターが保護対象ではなく、駆除対象となっている点が大きい。


「頑張ってください」「頑張らなくていいわよ」


 とセーカくんとフーカちゃん。何かあった時のために、私の後ろにひかえていてくれている。私は深呼吸した後、カメラに向かって合図を送る。


 武器を構えると、向かいの扉にある赤い信号が点灯し、最後に緑が点灯した。

 レースなどでお馴染みのスタートシグナルである。


 扉が開くと同時に出現したのは『フロストインプ』だ。

 青白い肌ととがった耳を持つ小鬼である。確か説明では――


(氷の魔法で探索者をこおらせてくるんだったよね……)


 小さな体で素早く動き回るため、初心者である私はマナブレードで近づかれないように牽制けんせいしつつ、相手が魔法を使ってきた際にマナブラスターで撃てばいい。


 今の私の身体からだは想定以上に素早く動くため、回避は簡単だ。

 マナブラスターも命中する。


 射撃の腕は『DEX』(器用さ)の値に左右されるらしく「弾丸が勝手にフロストインプへ向かって飛んでいった」と表現するのがいいだろう。


 フロストインプは魔法を発動する前に、断末魔の悲鳴を上げて倒れた。

 そして、光の粒子(万応素マナ)となって消える。


 モンスターを攻撃することに「躊躇ためらうかも」と思っていたのだけれど――


(どうやら、アバターの姿になると「モンスターに対して抵抗なく戦えるようになる」というのは本当みたいね……)


 いつもの私であったのなら、悲鳴の一つでもげて、逃げていただろう。

 でも、今はモンスターを仕留めたというのに、随分ずいぶんと落ち着いている。


 怪我けがはなかったのだけれど、武器の使用によるMPの消費があった。

 そのため、倦怠けんたい感がある。


 レベルも3から4に上がったようで、ステータス画面が立ち上がった。当初の予定通り「VIT」(体力)と「DEX」(器用さ)、「AGI」(敏捷性)を上げておく。


「まだ、戦えそうですか?」


 というセーカくんの言葉に対して、私は「だ、大丈夫」と答える。


「回復する?」


 とフーカちゃんは杖を振ったのだけれど「そっちもまだ、大丈夫だよ」と私は返した。次の相手は青白い毛皮と鋭い牙を持つ狼『フロストウルフ』である。


 氷のブレスと高い敏捷性を持っている。

 その名前の通り、冷気をまとって、探索者を凍らせてくる。


 最初は動きが早くておどろいたのだけれど、れればどうってことはない。

 そもそも、本来は群れで行動しているモンスターだ。


 単体では、そこまでの脅威にはならなかった。氷のブレスで床を凍らせてきたため、足を取られそうになったのだけれど、新しく買った靴のお陰で助かった。


 今回もマナブラスターで仕留める。フロストウルフが光の粒子となって消滅する際、毛皮へと変化した。ドロップ品である。


(これらは、もらってもいいそうだけれど……)


 今の私たちには必要ない。なので、帰りに換金することにした。

 それよりも、最後の相手は『スノーゴーレム』。


 要は動く巨大な雪だるまである。こちらもダンジョン内では複数で出現し、雪を操り、探索者を凍らせてくるそうだ。


 動きが遅いので、マナブラスターで正面を狙いつつ、相手が雪玉攻撃を仕掛けてきた時点で、回避しながら背後へと回り込む。


 そして、マナブレードで背面から斬りつけ、仕留める。

 レベルが4から5に上がり『氷の結晶』というアイテムも手にいれた。


「おめでとうございます」


 流石さすがですね――とセーカくん。めてくれるのは嬉しいけれど、どう考えても、今回勝てたのは武器や防具の性能のお陰である。素直には喜べない。


 フーカちゃんからマジックポーションをもらい、MPを回復する。

 当面の目標はレベル10なのだけれど――


(このり方って、物凄ものすごくお金が掛かっているような……)



 🍽️ 🍽️ 🍽️ 🍽️ 🍽️



*:._.:*:._.:*:._.:*:._.:*:._.:*:._.:*:._.:*


ฅ^•ω•^ฅ「カリンと~♪」

(˶ᐢ. .ᐢ˵)「フーカのー」


ฅ^>ω<^ฅ&(˶ᐢ- -ᐢ˵)「ティーダンジョン♪」


ฅ^•ω•^ฅ「今日は果物について――って普通だ」

(˶ᐢ. .ᐢ˵)「美容に良いからといって、身体にいいとは限らない……」


ฅ^-ω-^ฅ「こらこら」

(˶ᐢ- -ᐢ˵)「うー」


ฅ^-ω-^ฅ「今日は慣れない戦闘で疲れたよ……」

(˶ᐢ. .ᐢ˵)「そんな時は、甘いモノね。冷やしたフルーツよ」


ฅ^>ω<^ฅ「わーい! ありがとー!」

(˶ᐢ. .ᐢ˵)「ちなみに、冷やすと甘くなる果物はこれね」


🍎リンゴ:冷やすと甘さが引き立つ。

🍐ナシ:冷やすと爽やかな甘さが楽しめる。

🍇ブドウ:冷やすとジューシーな甘さが増す。

🍉スイカ:冷やすとさらに甘く感じられる。


ฅ^>ω<^ฅ「美味しー!」

(˶ᐢ. .ᐢ˵)「果糖の多い果物は、冷やすとより甘く感じられるそうよ……そして――」


🍊オレンジ :酸が強いため、歯のエナメル質を傷つける可能性がある。

🍌バナナ:カロリーが高めで、食べ過ぎると体重増加の原因になる。

🥭マンゴー:糖分が多く、血糖値を急上昇させることがある。

🍍パイナップル:酸が強く、口内炎や胃の不快感を引き起こすことがある。

🥝キウイ:アレルギー反応を引き起こすことがある。

🍊グレープフルーツ:一部の薬と相互作用し、薬の効果を減少させることがある。

🍓イチゴ:農薬の残留が多く、健康に悪影響を及ぼすことがある。

🥑アボカド:カロリーが高く、食べ過ぎると体重増加の原因になる。

🍒チェリー:糖分が多く、食べ過ぎると血糖値が上昇する。

🍈パパイヤ:消化酵素が強く、胃腸が弱い人には不快感を引き起こす。


ฅ^>ω<^ฅ「えーっ! アボカドって果物なの?」

(˶ᐢ. .ᐢ˵)「ああ、そこ? イチゴは植物学的には野菜に分類されるわ」


ฅ^-ω-^ฅ「適量を守りながら、摂取せっしゅすることが大切だね!」

(˶ᐢ- -ᐢ˵)「みんなは、どの果物が好きかしら?」


ฅ^>ω<^ฅ&(˶ᐢ- -ᐢ˵)「またね~、ばいば~い!」


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