第52話

ハルはそれを見てニコッと笑った。


「カナリア。ああ、カナリア。愛しているわ。カナリア。もっとちょうだい」


ディアンナは自分でシーツを取り、ハルに向かって足を開いた。

そんな娼婦のような女をハルはニコニコと笑顔で見続けた。

あぁ!カナリアが見てるわ!私のことを見てる!もう、ダメ!


「ア”ーーーーッ!!」


ディアンナは見られただけで達してしまった。

ハルは試薬の効果がまだ続いていると知った。

効果がなくなるまでずっと見続けるようだ。

ディアンナはそんなことなんて知らずに勝手に1人で達していた。

1時間ほどだろうか。

やっと落ち着いたディアンナにゆっくり近寄る。


「ディアンナ?」


「ハァハァハァ、カナリア」


「大切なこと言わなきゃいけないんだ」


ディアンナは閉じ掛けの目で必死にハルを見ていた。

何?何を伝えるの?

あなたのことならなんでもしてあげるわ。

旦那様を殺して伯爵になりたいというのならそうさせるわ。

私を、あなたと一緒にいさせて。

あなたは私を愛してくれるもの。

こんなに私を求めてくれるもの。

ハルはディアンナを優しくベッドに押し倒し上に乗る。

そして耳元で囁いた。


「そろそろ始めようか?お前の調教をねぇ」


ディアンナの顔のすぐ横にはナイフが突き刺さっていた。


「俺がお前なんか愛してるわけないよねぇ。俺は闇市だよ?支配されるの嫌いなんだよねぇ」


「カ、カナリア?」


「あと、俺の名前はカナリアじゃないんだよねぇ。俺は、お前なんか好きでもなんでもない。お前は俺の玩具になるんだよぉ」


「えっ?玩具って?えっ?何言ってるの?そ、そ、そんなの冗談よね?嘘よ!だって、あんなに私を求めてくれたのに!!」


「求めてないよぉ。ほら、よく見てよぉ。お前は裸だけど俺はちゃんと服を着てるよねぇ?お前は、俺を愛玩奴隷にしようとしたよねぇ?本当に馬鹿な女。大人しくしていれば長生き出来たのにねぇ?もう一度言うけど、俺はお前を全く愛していない」


「イヤッ!そんなの嫌よ。イヤだ。イヤーーーーーッ!!!!」


幸せな顔をしていた女が一瞬で絶望の顔に変わった。

俺が好きな顔だ。

歪んだその顔がとても唆る。

恐怖から与えられた顔より、幸せなところから突き落とされた顔は魅力的だ。

もっと見たい。

もっと苦しそうにしている姿が見たい。

ハルはディアンナを押さえつけてナイフで髪を切った。

頬と首にも少しだけ切り込みを入れる。


「痛い?痛いよねぇ?でも、大丈夫だよ。好きな快楽も教えるからねぇ」


ハルは痛みと快楽を交互に与えながら責め立てた。

首を圧迫したり爪を剥いだりと痛みを与え、優しく愛撫をして首元にキスをしたりと確実にディアンナを追い込む。


「アガッ!フガッ!ングッ!」


もう快楽と痛みに耐える声くらいしか出なくなった。

ハルはポケットから緑色の小瓶を取り出す。

そしてディアンナの口に4滴飲ませた。

5分くらいで効果が出始めるはずだが、3分くらいで効果が出てきたようだ。


「アッガガガガガッ!!!!」


ディアンナの全身に強烈な痛みを感じた。

それはたくさんの針に刺されているような痛みだ。

痛みから逃れるためベッドの上で暴れるが苦しみからは解放されなかった。


「痛い?これ、激痛が起こるらしいんだよねぇ。内臓とか壊れちゃうんだってぇ。あぁ、まだ死なないでねぇ?」


ハルは楽しそうにディアンナを見ていた。

もっと苦しむ顔が見たい。

もっと、もっと、もっと!!

それからハルはディアンナが完全に壊れるまで遊んだ。

思う存分楽しんだあとはディアンナをみんながいる部屋に運び投げ捨てた。


「コレ、使いたいならどうぞぉ」


みんなは投げ捨てられた者を見る。

そこには全身血だらけで目が完全に白目でブルブルと身体を跳ねさせる女がいた。

髪はほぼ抜かれて頬は真っ赤に腫れている。

完全に壊れている。

あと、数時間の命だろう。

哀れな女をみんなが見ている間、ハルはルンに試薬を返した。


「ほぅ、結構使ったなぁ。お前、使いすぎるぞ!」


「えーっ、だっていろいろ試したかったからさぁ。これ、なかなかいいよぉ。販売してもいいと思うけどなぁ」


「自分で言わんか!」


「面倒だなぁ…………」


「全く」


「俺、帰るからぁ。あの女の処分お願いねぇ」


ハルは部屋から出て行った。

もう空は夜になっていた。

楽しくて時間を忘れてしまった。

ンフフ、今日は機嫌がいいなぁ。

これなら、ゆっくり眠れそうだ。

ハルは上機嫌で自分の寝ぐらに帰って行った。



ー 闇市 end ー

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る