第44話
コンコン。
「アメリア様。おはようございます………………」
部屋の中に入ってきたメアリはハルの姿を捉えるとその場で固まった。
まぁ、そうなるだろう。
こんなに朝早くに来たことなかったから。
「こ、これは、ハル様いらしていたのですね。おはようございます。ご一緒に朝食はいかがでしょうか?」
「おはよー。メアリ。ありがとー」
「準備いたしますので少々お待ちください」
メアリはすぐに部屋から出た。
私の分しか準備していなかったから急いで準備しに行ったのだろう。
「ここの屋敷は変わったねぇ。奴隷が増えちゃった。しかも、同族の臭いがするなぁ」
「知ってるのに聞くの?」
「関わってないよねぇ?」
「今でもハルだけだよ」
「そっか!それなら安心したぁ」
「トキの位置ってどの辺なの?」
「ん?あー、低くもなく高くもなく中間でもない微妙な位置って感じかなぁ?ちなみに、死体を見て興奮するタイプだよぉ」
知りたくないことまでありがとう。
ヤバイ奴なのは分かった。
そういう奴は死体を部屋に飾って腐るのをじっくり見たり、死体に悪さをしたりと死んだことで嫌がらないからやりたい放題だ。
「リア?どうかしたのぉ?怖くなっちゃった?」
「別に怖くなってない」
ハルと比べるとマシだからね。
反応がない死体を可愛がっているほうが大人しいと思えてしまう。
もう、基準がハルになっちゃってるし。
「公爵夫人は死にそうな奴が好きなんだねぇ?」
死にそうな奴って………………
儚いって言い方をして欲しい。
「リアは愛玩奴隷とお話ししたぁ?」
「した」
「ふ〜ん。そっかぁ」
意味がない会話だけどハルにとってはそうじゃない。
少し話しただけでハルは気付いてしまう。
頭の回転が速く先回りを簡単にしてしまうから凄い。
「優秀らしいねぇ。息子さん。公爵も凄く嬉しそうだったよぉ。陛下も期待しているらしいし。殿下とも充実なお話しをしているらしいけどねぇ」
本当?
それは知らなかった。
まだちゃんとしたお披露目をしていないのに。
「愛しい女とその子供をやっと家族に出来て頭の中がお花畑みたいだねぇ」
「だから行動しやすい。でしょ?」
「リアがいなくなってもすぐには気づかないねぇ。クスクス」
ハルが笑うと何かを考えているようで怖い。
何か悪いことを考えているようで………………
「お待たせ致しました」
メアリはカートを押して部屋に入る。
テーブルの上には朝食を置いて部屋の隅に立つ。
「どうぞ。簡単なものだけど」
トーストと卵とハムに牛乳のみ。
焼いて終わりだから簡単だ。
テーブル席に座り朝食を食べる。
手作りのパンはもちもちしていて美味しい。
ハルはいつまでいるのか分からない。
気紛れで帰ったりするから。
食べ終わってからは椅子に座ってメアリに髪を少し切ってもらっている。
ハルは床に落ちた私の髪を拾い手に乗せて息を吹きかけて遊んでいた。
「リアの髪の毛って高く売れるんだよぉ。水色の髪は珍しいからねぇ。この世にはいろんな愛好家がいるからねぇ」
「ハル様。落ちている髪を売るのは止めて下さいまで。大変なことになりますので」
「そんなことしないってぇ。リアが危険になるようなことはしないからねぇ」
「ならいいのですが」
怖いことを言わないでもらいたい。
私の髪の毛が全部抜かれてしまうではないか。
頭皮が見えるとか嫌だから。
美容に興味がないけど、髪の毛がなくなるのは嫌だ。
「リアの髪は本当に綺麗だねぇ。太陽に当てると濃くなったりして面白いねぇ。クスクス」
だから、何か考えているでしょ?
そんな感じがする。
悪い予感しかないし。
「ハル様。お昼はいかがなさいますか?もし、お昼もいらっしゃるならハル様の好きなミートパイに致しますが?」
「んー、夕方までいるつもり」
えっ?
夕方までいるの!?
長い!
そんなに長くいたことなかったのに!
「では、準備させていただきます」
バツッ!と、前髪が切られた。
長くなっていた前髪が切られたことで目の前がうるさくない。
「足音が聞こえるねぇ?」
えっ?
足音?
ハルはそう言って素早く隠れた。
それからすぐにドアが開けられた。
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