第40話
「そうですわね。ちょっと疲れましたし。アメリア嬢。あなたも参加しなさい。あなたはお茶会にも参加しないのですから。いいですか?お茶会というものは情報収集にもなる大切な会なのです。流行をいち早く察知するためにも大切なことなのに、あなたはいつもいつも欠席ばかり。たまに顔を見せればすぐにどこかに消えてしまう始末。この私が今から教えましょう。最近の流行と貴族の秘密を」
聞きたくなーい。
興味がない。
ドレスなんて動きにくいだけだし。
それに凄く高いもの。
本が何冊も買えてしまうものだ。
嫌がる私をお構いなしにテーブル席に座らせるディアンナ様は、私のすぐ隣に自身の愛玩奴隷まで立たせるのだ。
「さて、やっとゆっくり出来ますわ。まずは最近の流行ドレスからお話しを致しましょう」
ディアンナ様はペラペラとドレスについて熱く語る。
夫人はそれを真面目に聞き、メモまでしっかり取る。
美学の話からあそこの貴族はあーだこーだまで隅から隅まで。
そんなに話てよく声が枯れないものだ。
私なんて「はぁ」「いえ」「まぁ」「いや」「はい」くらいしか言っていないと思う。
もう一方的な会話だ。
貴族の秘密まで話終えたあとは自分の愛玩奴隷の自慢話。
この子は隣国の男爵家の次男から伯爵家の三男まできっちり紹介。
どうやって見つけたのか、どうやって攫ったのか、どうやって調教したのか話す。
「私は美しいものが大好きです。ご覧になって下さいな。どの奴隷もとても綺麗でしょう?美学を隅々まで求めるのです。もう出会った瞬間ビビッと感じるのです!この子は私のところでもっと輝くと!私の印をたくさん付けることで私の愛情を示すのですわ。この前も私を求めてくる彼らに輝きが足りないと言ってたくさんの印を付けましたの。腕や足に背中などにたくさんの私の印を。快楽に善がる姿はとても美しいものでした。夫人はどうですか?私はプレゼントしたお香は?」
「はい。とても素晴らしいものでした。必死に耐えている姿がとても可愛らしくて」
「まぁ!もちろん。公爵様にも試したのでしょう?結婚のお祝いとしてプレゼントしましたもの」
「あ、はぁい………………楽しませていただきました」
「キャーーッ!ラブラブですわね!」
耳を塞ぎたい内容だ。
お父様と夫人の営みなど聞きたくない。
この国は性に関することがオープンすぎる。
異常性が強い人ばかりだし。
話はエスカレートしていきディアンナ様はもう止まらない。
私は聞き流すことだけに集中して早く終わらないかと常に考えていた。
「ところで先程のお話しに戻りますけど。例の闇市の件です。もう闇市にしておくには勿体ないほどの美男子。彼なら簡単には死ななそうですし。トキにお願いしてもよろしいかしら?トキはとても優秀ですのできっとあの方を連れてきてくれるでしょう」
「はい。私は大丈夫ですわ。ですが、用心棒もお願いしておりますのですぐにとはいきませんが」
「お時間がある時で構いませんわ。トキなら必ず連れて来てくれますので」
「ディアンナ様はそこまで望まれる方なのですね。私もお会いしたいですわ」
「調教が済んだら連れて来ますわ。きっとこの世で一番の美しい愛玩奴隷なることでしょう」
だから、ならないって。
絶対に無理。
悪いけど、トキにはハルを倒せないよ。
ハルはただ立っているだけなのに凄い悪寒を感じるけど、トキからは感じなかった。
トキとハルの差はかなり大きい。
無理だから。
絶対に無理!
今回も捕まった振りをして反対にディアンナ様が調教されて売られるか、その場で快楽に呑まれて殺されるかのどっちかだ。
殺されてしまう確率が高いかもしれないけど。
その時の気分次第でコロコロ変わるからなぁ。
「もう35回も頼んだのよ。高位な者じゃないと金額が高くならないし。この方は絶対美しいって分かったから頑張れましたわ!早く手に入れたい。きっと美しく善がることでしょうね。闇市の愛玩奴隷なんて素敵だわ。護衛にもなるし。彼が担当した愛玩奴隷は完璧なのよ。私好みの仕上がり」
仕事は完璧なのは分かるけど、性格は完璧じゃないからね。
馬鹿なことは考えないで依頼だけしていればいいのに。
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