第36話
ゴソゴソと物音がする。
それに誰かの息遣いが聞こえる。
ハッと気づき目が覚める。
何事かと辺りを見ると誰かがベッドの近くで座り込み息を荒くしていた。
よく目を凝らしてみるとビビであることに気付く。
急いでビビに近づき確認する。
「ちょっ!どうかしたの!?苦しいの?」
「あ、あ、アメリア様。苦しい。苦しいです!はふっ……アッ……ン」
「もしかして………………」
催淫剤?
なんで?
「アメリア様。どうぞ、僕を好きにして下さい。あなたのその可愛らしい手で好きにして下さい」
ビビは腰をクネクネしながら私の手を掴んだ。
「待って!無理!無理だから!」
「ンァ…アン、アッ……ン、アメリア様。アメリア様。アメリア様。愛しますから!アメリア様のこと愛しますから!ンァ!もうダメですぅ。許して下さい。僕はいけない子です。こんな僕を許して下さい。アメリア様のこの手で僕を虐めて下さい。お願いします。なんでもしますから。僕に触って下さい」
「メアリ!メアリ!!メーアーリー!!!」
バタンッ!と扉が大きな音を立てて開いた。
「アメリア様!いかがなさいましたか!」
「メアリ!すぐに解毒薬を持ってきて!」
メアリは状況が理解したのか急いで飛び出した。
「アメリア様アメリア様アメリア様」
私の名前を呼び続けながら私の手を舐め回す。
引っこ抜こうとしたがどうも上手く抜けない。
「ビビ、落ち着いて!」
「凄く滑らかな肌ですね。ンフッ」
快楽を求めるように調教された愛玩奴隷は強い性欲に支配されるっていうけど。
まさか、こうやって目の前に見せられるとはね。
「アメリア様!解毒剤です!」
メアリは解毒剤をビビに無理矢理飲ませる。
そして、掴まれている手を引っこ抜いた。
すぐに離れてビビと距離を取る。
「即効性のある薬です。すぐに落ち着くでしょう」
メアリが言った通りに30分ほどで治まったようだ。
「メアリ。悪いけどもう一度お風呂に入れてあげて。気持ち悪いでしょうから」
ビビが座っているところが濡れている。
考えたくはないが………………
「かしこまりました」
メアリはビビを立たせてお風呂に入れさせた。
私は小さい洗面台で手を洗う。
石鹸で丁寧に洗いタオルで丁寧に拭く。
少しするとメアリが戻ってきた。
「ビビは?」
「部屋に戻しました。もう落ち着いているので大丈夫でしょう。そこの片付けをします」
「お願い」
メアリは濡れてしまった床を丁寧に拭く。
私はソファーに寝転び目を閉じる。
は〜ぁ。
何事から目を覚ましたらまさかこんなことが起こるなんて。
「アメリア様」
「終わった?」
「はい。彼は薬を自分で飲んだようです。夫人の夜は必ず飲みなさいと教えられてました。アメリア様の時は必要ないと教えておきましたから」
「そう」
「その薬とお香の薬で頭がおかしくなるほど快楽を求めている、かと。尋常ではないでしょう。もう快楽しか求めなくなるので。」
絶叫ものだろう。
きっと、あの新しい愛玩奴隷も同じことをされているはずだ。
気絶するまで続けられる行為に耐えられるのだろうか。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫。目が覚めちゃったけどね」
「まぁ、そうでしょうね」
しょうがない。
本でも読みながら朝を訪れを待つか。
「アメリア様。子守唄を歌いましょうか?」
「子供扱いしてる!」
「心地よい子守唄は眠気を誘うものですよ」
「………………歌って」
「はい」
ベッドに戻り掛け布団をお腹のところまで掛ける。
メアリはベッドの端に座り私の手を掴んだ。
メアリの手は程よく温かい。
温もりを感じる温かい手。
この手を掴んで屋敷の中を探検したっけ。
お母様の手より少し小さいけど、私の手をしっかり握ってくれる優しい手。
「アメリア様。安心しておやすみ下さい。私はここにおりますから」
【おやすみ。愛しい子よ。おやすみ。愛しい子よ。明日もたくさん遊びましょう。おやすみ。愛しい子よ。おやすみ。愛しい子よ。明日も笑顔を見せておくれ。おやすみ。愛しい子よ。おやすみ。愛しい子よ。明日も抱きしめてあげよう。おやすみ。愛しい子よ】
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