第61話
ロイ君。
もう私のこと馬鹿扱いだね。
まぁ、ロイ君からだと馬鹿の分類だろうね。
だけどね?
一応、年上なんだよね。
そこをもう一度考えてみようか。
君も大人だろう?
ねっ?
「ここが頂上だね。眺め最高。遠くまでよく見える」
「ロイ君」
「何?」
「日本のゲームで一番何がやりたい?」
「UFOキャッチャーが好き。いろいろな景品あるし。結構頭使うよね」
「そうだね。数は凄いよね。しかも高額な景品もあるし。ついついお金を入れたくなるよねぇ」
「やったことあるの?」
「あるよ。なかなか取れないのがイライラするよね」
「攻略方法を考えるのが楽しいけど」
「ふ~ん。なら、たくさんあるゲーセン行こうか?屋敷から少し遠いけど」
「いいの?」
「いいよ。立花さんにお願いして車出したほうがいい?」
「いや、俺は篠原家との繋がりは薄いから。普通に交通機関でいいよ。それか、23番の運転でもいいけど。気にしないし」
「本当に?一応、お客様ってことだからなぁ」
「別に気にしなくていいよ。おまけみたいなもんだから。日本にはレポートを仕上げるために行くし」
「真人様に会いたいってこと聞いたけど」
「正確には真人君が持っている本を見たいから真人君に会いたいってこと。駿じゃないんだからさ。あの変態に会いたいわけじゃないよ。日本に行くお金も明子さん持ちだからラッキー。自分でお金を出して行くわけないじゃん」
「…………………」
そうですか。
タダだから行くのねぇ。
まぁ、その気持ちは分かるかも。
「23番。日本の図書館にも寄ってくれる?」
「いいよ。大きなところに行こうか。レポートの資料とかたくさん使うでしょ?」
「できれば図書館でレポートやりたい。真人君の屋敷ではやりたくない」
「いいけど。夜の7時くらいまでやってるからギリギリまでいる?夜ご飯はどこかで食べることになると思うけど。真人様の屋敷で食べる料理より質はかなり下がるけど」
「なんでもいい。コンビニでも抵抗ないから」
「コンビニは流石にないから大丈夫。まぁ、アメリカで私の面倒を見てもらっているからね。レポートのお手伝いをさせていただきます」
「助かる。早く完成できそうだ」
それはよかったね。
大学生って大変だね。
課題とかどのくらいの期間で完成させるもんなの?
たくさんの参考資料とか読むよね。
文字とか表とかいっぱいだと頭が痛くなる。
「23番。そろそろ終わりだね。もう行くところない?」
「特には」
「そう」
着地地点に到着すると係員の指示に従い降りた。
そのままどこにも寄らずまっすぐエントランスに行く。
他のお客さんも帰宅時間なのかエントランス方面に歩いている。
「まぁ!23番。ロイと凄く仲良くなったのね。手なんか繋いじゃって。安心したわぁ」
ドキッとするような声に驚いて横を向くと明子さん達がいた。
タイミングがいいような悪いような。
「明子さん。勘違いしないで。23番が迷子になりそうだからだよ。人が多いし。英語がしゃべれない23番が迷子になったら騒ぎになるから」
「そうねぇ。迷子になったら騒ぎものね。楽しめた?」
「優先チケットっていう便利なものがあったからね。楽しめたよ。駿は、寝ちゃったの?」
「そうなのよ。疲れちゃったのねぇ」
駿君は敏さんの背中でおねんね。
結構ハードスケジュールだったもんね。
それは疲れるわ。
私も疲れているし。
帰りの人々と一緒に帰る。
最後の最後で車の渋滞に嵌ったがあとはスムーズに進む。
夜ご飯は通り道にあるレストランに入ろうと思ったが駿君が爆睡中でそのまま家に帰ることになった。
「23番。どう?こっちのアトラクションは。日本と違って過激でしょ?」
明子さんは疲れを知らない人なのかとても笑顔で言う。
「そうですね。過激すぎてびっくりしました。何回転して何回落ちるのか。動きが海外らしいです」
「そうよね!だから楽しいの。駿がもう少し大きくなったら乗れるのよねぇ」
身長制限で乗れないアトラクションがいっぱいあるもんね。
子供の成長は早いから1年くらい経てば乗れるだろう。
家に着くと敏さんは駿君を車から降ろす。
そのまま部屋まで直行。
私とロイ君も自分の部屋に直行。
今日は凄く疲れているからお風呂に入らないでこのまま寝たい!!
ガチャッ………………
「まだ、寝かせないよ」
「そのセリフは間違っているよね」
ロイ君よ。
君はまだ若いのは分かる。
でもね?私はもうそんなに若くないのだよ。
体力の衰えが感じているのだよ。
分かってくれないかな?
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