第60話

運ばれてきた料理をバクバク食べて一休みしてからレストランから出る。

ロイ君に手を引かれながら先ほどの乗り物に着くとキャストの人優先チケットを渡す。

いやぁ、本当にスムーズに進みますなぁ。

あっという間に順番が来て乗り込む。

英語で注意事項を言っているが全然意味分からん。

まぁ、日本と変わらんだろう。


「ロイ君。これって、どんなアトラクション?」


「えっ?今更?」


「うんドハッ!!!!!」


私まだ話してましたけどぉぉおお!!

いきなり凄い速さで動き出したと思ったらすぐに落ちた。

そして、上がってまた落ちる。

1回転してから落ちる。

上がって落ちて上がって落ちて上がって落ちてゴール。

いや、何回落ちるの?


「大丈夫?」


「さすがアメリカ。日本にはないアトラクションだね。激怖っ!何回落ちるの?ってくらい落ちたよね?ナメテタ」


「…………………次のやめる?」


「何を言っているの?乗るよ!!日本にはないアトラクションだよ?乗らないとダメでしょ!?」


「…………………吐かないでね」


「我慢はする」


それから夕方までロイ君セレクトのアトラクションに乗り続けた。

最後らへんは流石に疲れたがどうしても元を取りたがるのが貧乏人の考え。


「最後は観覧車に乗ろうか。それとも絶叫系?時間的に絶叫系は厳しいかも」


「なら、観覧車でいいよ。空いてるでしょ?」


「普通の待ち時間ではないけど他より空いてるよ」


「よし!!行こうではないか!!」


巨大な観覧車の待ち時間は50分。

なかなかいい時間ですね。

そして、カップル多いな。

イチャイチャを見せるなよ。

キスするなよ。

日本だと恥ずかしいけど外国で見ると別に恥ずかしくはないよね。

それよりさ?

彼女さんよ、てめぇは自分の男を見てろ。

あん?ロイ君に色目を使ってんじゃねぇよ。

なんって目で見てるの?

その目を潰してやろうか?

フォークで潰してやろうか?

浮気はいかんぞ!!

だから、ジロジロ見るなって!!

いや、私を睨まないでほしいな。

なんでもないから。

友達でもないから。

つーか、よく分かりません!!

私もどんな関係なのか分かりません!

どんな関係なの?聞かれても分かりません!

仕事先の上司の従兄の従兄です!んで、付き添い人です!あっ、説明できた。


「23番。順番が来たから乗るよ。何やってんの?いろいろ顔をするのは勝手だけど恥ずかしいからやめてくれる?」


「ごめん。ちょっとおかしくなってた」


「…………………変わってるよね。23番」


恥ずかしいわ。

いろんな意味で恥ずかしいわ。

ゴンドラの中に乗り込みドアが閉まる。

恋人ならこの密室が堪らなくドキドキもんだろうな。


「23番は日本に帰ったら何をする?」


「日本に帰ったら?う~ん。食材を買い込む」


「いや、そうじゃなくてさ。どこか行く予定あるの?ってこと」


「特にないけど。駿君と一緒に遊んで一緒に寝て。あと、一緒にお風呂に入って」


「…………………明子さんも日本に行くから駿の世話はしなくていいと思うけど」


「あぁ、そっか。そうだね。なら、通常の業務に戻るね。早く起きて水回りの仕事をして昼に終わる。今は早番担当だからね」


「なら、午後は俺と一緒に出掛けない?」


「…………………」


「疲れるって顔しないでよ。俺の今の状況を考えてよ」


「…………………どこに行きたいの?」


「ゲーセン」


「ゲーム好きだね。ストレス発散?」


「そうだね」


「まだ若いのにそんなにストレスたまっているのか。可哀想だね」


「…………………今日の夜も一緒に対戦しようか。君みたいな人に負けるなんて嫌だ」


「負けることも大切だよ。ほらほら、景色を見てよ。人がアリのように見えるよ。黒髪少ないね。アリに例えられないか?ならゴミクズ?」


「その例えも違うと思う。ミニチュアって表現にしようか。馬鹿と会話してるみたいで嫌だ」


「…………………」

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