第58話
***
またもや寝苦しい。
睡眠はとても大切なものだ。
なのに、なぜ私の睡眠はこんなに寝苦しいのだろうか。
パチッと目を開くと知らいない天井が見えた。
どこだっけ?
横を向くとロイ君の寝顔がドアップ。
…………………。
あぁ、駿君の家だったかぁ。
…………………。
いや、近いから!!
こんな完璧な容姿を持っている人と一緒に寝るとか私の心臓が止まるから!!
つーか、ソファーに座ったまま寝てしまっていたのね。
寝苦しいはずだ。
首が痛いよ。
腰も痛いな。
全部が痛い。
テレビつけっぱだし。
「ん、うん?」
「あっ、ロイ君おはようございます」
「…………………うわっ!」
ロイ君はびっくりしてソファーから落ちる。
そうだよね。
そうなるよね。
でもさぁ、なぜ自分の体を確認してるの?
いや、襲ってないからね。
つーか、それは私だと思うけど。
「おはようございます。俺、寝ちゃったみたいで」
「いいえ、私も同じです」
「23番が寝てからずっとゲームしてて…………………すみません。片付けて部屋に戻ります」
「うん」
敬語になってるね。
もう敬語なしでいいのに。
ロイ君は急いでゲームを片付けて出て行った。
朝食の時間はこの家の家政婦が呼びに来た。
ダイニングに行くと駿君がとても嬉しそうに明子さんと話しをしていた。
敏さんは優しい目で二人を見ている。
穏やかなご家庭ですねぇ。
仕事が忙しい両親が久しぶりに一緒にお出掛けだもんね。
嬉しいはずだよ。
出来るだけ邪魔をしないで家族の団欒を過ごしてほしいものだ。
チラッとテーブルの端に座っているロイ君を見る。
うん、別に普通だ。
結構びっくりしていたからな。
大丈夫みたいだ。
「では、いただきましょう!しっかり食べてね。今日はたくさん歩くからね」
そうですね。
えぇ、そうでしょうね。
天気も快晴だし。
行楽日和ですね。
朝から肉料理とは気合いを入れてますなぁ。
どんなところなのか詳しくは聞いてないけど平日でもいっぱいなんでしょ?
怖い怖い。
ご飯を食べ終えて出発は9時。
それまで部屋で過ごしていいとのこと。
部屋に戻り服を着替える。
髪をひとつに束ねて完成。
バッグには財布と携帯など必要最低限なものしか入れない。
よっしゃっ!!
完璧ですね!
部屋を出て玄関に向かう。
玄関に着くとすでにみんな集合。
マジで気合い入ってる。
明子さんも敏さんも動きやすい服重視。
ロイ君もだ。
というか、ロイ君は身軽すぎじゃない?
財布は?って感じだ。
近くのコンビニに行く感じだよ。
今回、運転は敏さんが担当。
運転手さんはいないらしい。
ほぅ、食事もそうだけど庶民派?
キラキラ感がそんなにないのよねぇ。
7人乗りの車に助手席は明子さん。
後部座席は私と駿君。
その後ろにロイ君。
女子高生みたいにはしゃぐ明子さんが眩しい。
もう私にはあそこまで楽しめる元気がないのだよ。
「あっ!そうだったわ。危ない危ない。伝え忘れるところだった。立花から伝言よ。23番」
「はい?なんでしょう」
「あなたの愛車が邪魔だったので移動させてもらいました、ですって」
「…………………はん?」
私の愛車を移動だ?
あん?
あぁぁぁぁんんん!?
なんじゃと!!
どこだ!
どこにやった!!
「私の愛車はどこに!?」
「安心して。近くの駐車場を借りたらしい。でも、その場所は月額が発生するからお給料から差し引くって」
「なぜに!?なぜ、移動!?えっ?嫌がらせ?真人様の嫌がらせ?嫉妬心が私の愛車に向かった?何?契約違反だ!!なんつーことだ」
「落ち着いて!大丈夫よ。これは真人の嫌がらせじゃないから!それに、真人ならもっと凄いから!あと、駐車場の件だけど業者の人に貸したらしいわ。少しの辛抱よ」
「…………………そうでしたか。いや、なぜ今?まさか、私がいない間にってこと?あの野郎…………………」
「23番って楽しい人ね。駿の言っていた通りだわ。あの野郎だって」
あっ、やってしまった。
いや、だってね。
「23番って結構乱暴な言葉使うんですね」
ロイ君の言葉が痛いな。
「23番。馬鹿だな。今更だろ。立花は平気でそんなことする奴だろ」
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