第55話

あらら。これは納得だね。


「ロイ。こっちへ来て。紹介するから。この女性は真人の屋敷で働いている家政婦23番よ。日本で駿の面倒を見てくれているの。まだ新人だけどよく働くの。年齢は26歳だからロイより年上よ。いい?社会人の先輩なんだからね?失礼な態度をしないように!!23番。この子がロイよ。22歳の大学生。父親が日本人で母親がアメリカ人のハーフ。日本語はペラペラだから日本語で大丈夫」


ブロンドの短髪で顔立ちははっきりしている。

瞼は二重でキリッとした眉毛。

顔のパーツがちゃんと輪郭に合っている。

あれだ、これが本当に完璧な顔だ。

純日本人にはないパーツだよね。

明子さんが言っていたように凄くカッコイイ。

これは女が黙ってないよ。

モテるねぇ。


「初めまして。ロイと申します。駿のいとこです。23番と呼べばいいですか?俺のことはロイと呼んで下さい。そのほうがラクでいいです」


「初めまして。23番と申します。私のことは23番で大丈夫です。名前の件ですが君付けで呼ばせていただきますね」


「そうですか。別にいいですけど」


…………………。

ツンツンタイプ?

そっけないねぇ。

笑顔がないよ。

ニコニコしないよ。

無表情だよ。

おーい、笑顔はどうした?

私は笑いたくないのに笑顔を振り向いているんだけど。

そんなんじゃ、社会でやってけないよ。

可愛くない後輩はいらないからね。


「なぁなぁ?みんなでトランプしない?楽しいぞ!!」


「駿。23番は疲れていると思うから休ませてあげましょう。まずは、どうぞ」


いい香りがするコーヒーだ。

挽きたてってやつ?

一口飲むだけでとてもおいしいのが分かる。

いつもインスタントの私にはなかなか飲めないものだねぇ。

味わって飲みたい。


「俺も何か飲みたいぞ」


「駿はオレンジジュース。ロイはブラックコーヒーね」


ロイ君はブラックコーヒーなのねぇ。

似合う!!

凄く似合う!!

3人がソファーに座りリラックス。

時々、ロイ君の視線が気になるけど。

チラチラ見てくるのだ。

何か言いたいけど言えないのか?

ここはお姉さんの出番?


「23番。疲れたか?部屋で休むか?夕食の時間になるまで部屋で休んでいて大丈夫だからな。明日が本番だ!!」


「駿君。ありがとうね。心配してくれて嬉しいよ」


「ん…………………23番がここの家政婦なら良かったな」


ん?んん?


「あらぁ!!それはいいわね!!駿、あなたいいこと言ったわ!!!あの変態野郎のそばにいないほうがいいわね!」


ん?んん?はぁん?

まさか、変態なのをご存知で!?


「お母さん。真人兄ちゃんは変態じゃないぞ!!」


「あぁ、ごめんなさい。本音が出てしまった。じゃなくて、あなたのような子ってなんだかねぇ。可哀想で」


…………………。

なんだか凄く心配されてますけど。

可哀想発言されてしまったけど。


「変態撲殺」


えっ?

ロイ君から怖い言葉が聞こえたけど!!

変態撲殺って何事!?

撲殺するの!?

つーか、目がマジですけど!!

何があったの?

えっ?

そんなに嫌なことがあったの?

真人様に何を言われた!?


「ロイ。目が怖いわ。やめて。23番もびっくりよ。駿も機嫌が悪くなるでしょう」


「本当のことだから。23番はなんで家政婦をしようと?」


おぉ、質問ですか?

答えてあげましょう!


「お給料がいいので。寮付きで部屋を借りるより安いですし。駐車場付きですし」


「お金ですか」


「まぁ、そうですね」


何?

駄目なの?

お金がないと生活できないのよ。

自分で働いたお金で生活してるもんでね。

あんたらみたいに親の金で生活してないので。


「なら、今のお給料より高く出すと言ったらこっちで働いてくれる?。もちろん、寮付きで朝食と昼食付き。夕食はでないけど。どう?ちゃんとお休みもあるからね。お盆休みとかで日本に帰れるし。仕事内容も日本とそんなに変わらないと思う」


いやいや、アメリカですか!?

それこそ、お父さんがマジ切れだから。

地元を離れるだけで騒いだ人なのに。

無理だねぇ。

それに、こっちは物価が高いし。

英語話せないし。

覚える気力もないし。

うん、無理だね。

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