第44話

貴重品の箱じゃないなら……………………

ベッドの下か!

ベッドの下にある透明はケースの中を漁る。

緑色の袋を開けて中を覗く。

すると、綺麗な状態のパスポートがあった。

中身を開いて期限を確認。

まだ大丈夫だね。

よし!早く準備してお風呂に入って駿君の部屋に行くか!

化粧品も入れておかないとね。

スッピンはかなりヤバイから。

大体、詰め込んだかな。


【コンコン】


誰?


【ドンドン!】


……………………。

叩き方変わった!?

ドンドンって何?

強く叩きすぎない?

というか誰!?


『23番!早く出て来いよ!!いるのは分かってんだからな!』


「駿君かよ!」


急いでドアを開けると泣きそうな顔をした駿君がいた。

周りを見ると誰もいない。


「どうしたの?」


「一緒にお風呂に入れ」


「……………………うん。何か言われたのね。泣きそうな顔しちゃって」


「うるさい!泣きそうな顔なんてしてないぞ!俺は泣かないからな!!絶対に泣かない!」


「うん。駿君は強いもんね。でもねぇ、許してないよね?その感じだと。なんて言われたの?」


「真人兄ちゃんは一緒に入るって言うけど、立花は駄目って言うんだ。一人で入れって!俺、凄く怖い!怖いから嫌だって言った!それでも、一人で入れって言う。23番と一緒に入るのもダメって」


「うん」


「立花は真人兄ちゃんの専属執事だから。迷惑になることが嫌なんだ」


「う~ん。駿君は真人様に私と入ること言ったの?」


「……………………立花は凄い怒った感じで言うから、俺も意地になって言った。23番と一緒に入るって。これからもそうするって。それを聞いた真人兄ちゃんも俺がそうしたいならそうすればいいって」


「……………………」


一応、許可しているわけか。


「なぁ?一緒に入ろう?俺、マジで怖い」


そんな泣きそうな顔で言われてしまうと。

弱いんだよなぁ。


「駿!やっぱり、ここにいた!ダメじゃない。ここは使用人専用だよ。駿が来ていいところじゃない」


楠が慌ててこっちに近づいてくる。


「楠さん。なんだか、大変なことになってますね」


「23番。ごめん。立花が凄く怒るからさ。真人様もびっくりして。止められなかった」


「それより、どうしますか?今の駿君を見ているとかわいそうで」


「は~ぁ。駿、絶対に無理なんだね?一人でお風呂に入るの」


「無理!!絶対に嫌だ!立花が真人兄ちゃんと入るのダメなら23番と入る!」


「僕とも嫌?」


「楠も嫌だ!」


「なんで?」


「……………………お前は使用人だ」


「……………………なるほどね。完全にやられたね」


何を完全にやられたの?


「楠。もう、いいだろ!23番と入る!真人兄ちゃんもいいって言った」


「駿。真人様は駿とお風呂に入りたいって言ったでしょ?」


「……………………23番と入るからいい。真人兄ちゃんは忙しいから邪魔したくない」


「いや、真人様の言い分も聞いてほしいけどね。なんだかなぁ。もう、分かったよ。駿、お風呂の準備しておいで。23番と1階のお風呂に入りな」


「やった!準備してくる!」


駿君は自分の部屋の方向に走って行った。


「さて、23番。この状況は非常にヤバイよ」


「そうですね」


「立花の怒り方が凄かった。本気で駿をどうにかしたいみたいだ。真人様は駿と一緒にお風呂に入りたいけどね。それを、立花は許さない。23番と入ることも許さないって」


「楠さんはどう思ってますか?」


「僕?23番と一緒に入ることは賛成できないね。真人様と一緒に入ることは賛成だよ。勉強ばかりじゃ大変でしょ?息抜きも大切だと思うけどな」


「そうですか」


「……………………嫉妬だよねぇ」


「えっ?嫉妬?」


「僕も一緒に入ろうかな。3人でどう?」


「お断りさせていただきます。セクハラ行為ですよ」


「えーっ、大丈夫だよ。触ったりしないから。見るだけ」


「それ、完全にアウトですよ!?」


バンッ!と大きな音を立ててドアを閉めた。

楠の野郎、なんつーこと言い出すのだろうか。

お風呂を準備をして部屋から出ると、楠はニコニコ笑顔でまだ部屋の前にいた。

まだ、何か言いたいことがあるの?

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