第42話
ブレスレット以外でもいいの?
料金その分大丈夫?
「23番はネックレスにしたらいいじゃん。仕事中でも大丈夫だ。先生!こいつはネックレス」
「はい。かしこまりました。では、まずはこの中からビーズを選びましょう」
うん。
私の意見はないのねぇ。
いや、私がお金を払うわけじゃないからいいけどさ。
「俺はこの赤のやつ」
「このお花の形をしたビーズですね。では、これをアクセントにしましょう。バランスを考えて小さいビーズも使いましょうね。家政婦さんはどうします?」
どうしようかなぁ。
この青いビーズもいいなぁ。
こっちのピンクも可愛いし。
「お前はこれにしたら?」
「まぁ、可愛らしいですね」
青い色をしたクマ型のビーズを指さす駿君に先生もノリノリで進めてくる。
確かに可愛いけどさ。
私の年齢を考えてほしいな。
26歳の女がそんな可愛いビーズが似合うと思いますか?
「では、選び終えたところ製作してみましょう。まずは、この専用の糸にビーズを入れますよ」
はい!私の意見はなしですね!?
そうだろうと思ったけどさ。
駿君は先生に教えてもらいながら一生懸命にブレスレットを作っていた。
私もピンセットを使いながら小さい穴に糸を通す。
目が疲れるなぁ。
「先生は独身なのか?」
「はい。独身です」
「何歳?」
「24歳です」
「ふ~ん。23番より若いな。23番は26歳なんだぞ。残念なペタンコ胸だ。先生と全然違うな」
「駿君。それ以上何か言ってみろよ。怖いことが起きるぞ」
よく知らない人に私の情報を話すなよ!
「先生は好きな人いるのか?」
「んふふ。どうかしら」
「あっ!いるな!!絶対にいる!」
「あら、どうして分かったのですか?」
「分かるぞ!俺だってもう分かる!」
「んふふ。それは凄いですね」
この先生って子供の扱い方上手だよね。
講師してるからか?
きっと、子供にも教えているのだろう。
駿君は先生にあれこれ質問しながらブレスレットを作り、なんとかお昼までに完成させた。
そして、残りは私だ。
「お前不器用」
「黙れ。この穴が見えないのだよ。分かるかい?」
「老眼?」
「はぁ!?この私が老眼!!そんなわけあるか!!」
「だって見えないって言ったじゃん」
「いや、違う。違うぞ!絶対に違う!!」
この穴が小さすぎるのだ。
もっと大きいものを選べばよかった。
いや、私は選んでないか。
「おーい。もうすぐご飯の時間だぞ」
「駿君は食べてきて」
「ここに持ってきてもらうことになってるから」
ここに持ってくる?
ここで食べるの?
どうして?
「お前の分もあるぞ。ご飯食べてからやればいいじゃん。今日はずっとこれだからな」
「いくつ作るの?」
「お父さんの分も作る」
「あぁ。そういうことね」
なんて優しい子。
駿君のご両親はとってもいい人だろうね。
「では、ここまでにしましょう。お昼の時間です。ゆっくりおやすみ下さい。2時間ほどでよろしいでしょうか?」
「ん。いいぞ。またあとで」
「はい。家政婦さん。そんなに急いで作る必要ありませんよ。では、午後にまた」
先生はそう言って部屋から出て行った。
先生が出るとすぐに楠が料理を持って入ってくる。
「お昼の時間だよ。そ・れ・と!23番。話があるからちょっと来て」
「はい」
絶対、あの話だな。
楠の表情を見れば分かる。
私は大人しく楠の命令に従い部屋を出る。
部屋を出るとき駿君が心配そうな表情をしていた。
少しすると楠も部屋から出てきて、こっちに進むように指示。
それに従い楠の後ろを歩く。
着いた場所はお客様の預かりものを保管しておく収納部屋だ。
「23番。とんでもないことになったね」
「そうですね」
「日本から飛び出ちゃうね」
「そうですね」
「困ったことに駿の母親である明子さんからだ。真人様も断ることが出来なかったよ。駿の奴、ない頭を動かして僕を追い出したくらいだ。パスポートあるの?」
「あります」
「なら行けるね。機嫌が最悪だけど、真人様も許しているし。明日から行ってきていいよ。準備は大丈夫?キャリーケースがないなら貸すけど」
「大丈夫です。ありますので」
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