第38話

そんな感じに言わないであげて。

優しく言ってあげて!


「最近、真人様は駿様のお付き合いで計画通りに課題がなかなか進んでおりません!意味分かりますか?少しは自分のことより真人様のことも考えて下さい!夜もそうですよ。1人でもう寝れるでしょう!?」


あわわわっ!!

ほらっ!機嫌が悪い!


「立花さん!明日のアクセサリーの件は10時願いします!私も一緒に参加しますから!真人様は課題に取り組み下さい。では、失礼しました!」


「いいよ!23番と今日から一緒に寝るから。じゃぁな!!明日の件、23番も一緒に作るからな!!!馬鹿立花!」


余計なこと言わないでぇ。

私は、駿君の腕を掴んでその場を離れる。


「駿君、あれはマズイよ」


「立花と俺は相性が悪い」


「それでもダメ。機嫌が悪いところに」


「今日から夜来いよ。楠にも言っておく。真人兄ちゃんにも」


「立花さんに謝れば真人様来てくれるよ」


「いい。真人兄ちゃんには迷惑かけてるの知ってるから。それに、お前は一緒に寝てくれるだろ」


「そんなに怖いの?」


「……………………怖い。自分の家なら平気なんだけど」


「ここの屋敷だけ?」


「うん。変な音が聞こえる。お前は聞こえないのか?」


「聞こえないけど」


「子供しか聞こえないのか?大人は全員聞こえないって言う」


「ふーん。怖がりだねぇ」


「怖がりで悪いかよ!」


「悪くないよ。しっかり怖いという駿君は偉い!私の弟はブルブル震えているのに怖くないって言うの」


「お前の弟の気持ち分かるぞ。男だもんな。ダサいじゃん」


「そうかなぁ?」


「もういいだろ!今日の夜絶対に来いよ!来なかったらお前の部屋に行くからな!……………………ん?つーか、俺がお前の部屋に行けばいいのか」


「はい?」


「よし!そうするか!俺、お前の部屋分かるぞ」


「なんで知ってるの!?」


「調べた」


「駿君。君はお客様だからね?使用人の部屋に来ることはできないよ」


「別にいいじゃん。一緒に寝るだけだぞ」


「私が駿君の部屋に行くから」


「俺の部屋は嫌だ。変な音が聞こえる」


「他の部屋は?」


「試した」


「ダメだったわけか」


「うん」


「……………………」


「……………………」


「やっぱりダメ。立花さんに怒られる」


「チッ!いい考えだと思ったのに。ちゃんと来いよ」


「分かったよ。行くから」


「話は通しておくから」


「はいはい」


危なくこっちに来ちゃうところだったよ。

そこまではできないからね。

夕方になると駿君は夕ご飯を食べるため、庭で一旦お別れをした。

私は自分の部屋に戻るため裏口に回る。

裏口のドア付近で楠が立っていることに気づき、お疲れ様ですと言う。

すると、楠は私に手招きをした。


「どうかしました?」


「あーーっ」


「立花さんのことですね?」


「そうだねぇ。最近、イライラ感が凄くてね。駿、どう?」


「簡単に説明しますと、私と一緒に寝ることになりました。真人様が忙しいことちゃんと分かってましたよ。だから、大丈夫です」


「一緒に寝る……………………そっか、そうなるよね。どっちって考えるとそっちのほうがいいのかもしれないな。でも、そっちも問題ではあるし。難しい問題だね」


「はい?」


何を言っているのか分からないけど。


「今日からずっとだよね?」


「そうです」


「……………………そっか。うん。よろしくお願いね。1人で寝られるようになるといいのに」


「それは無理でしょうね。問題が解決しない限り」


「問題?」


「お化けです」


「お化け?」


「知らないのですか?駿君はお化けが怖いみたいです」


「……………………お化け」


「自分の家では問題ないみたいですけどね。では、時間があまりないので失礼します」


「あぁ、うん。よろしく」


「はい」


一礼してその場を去る。

やることがたくさんだ。

2番に報告と自分のご飯と洗濯物と。

9時の時間はあっという間だからね。

今度は、自分の枕も持っていくか。

あと、目覚まし時計もだね。

執事が来る前に起きておかないと。

この前みたいに頭を叩かれるのは嫌だ!

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