第35話
なんだか、その触り方はマズイと思うのは私だけだろうか。
駿君は、私が大丈夫と分かると泳ぎ出して楠は真人様と駿君のどちらも見ている。
一番忙しいのは楠だね。
「ふぐっ」
そんなに私の足首を回すな!
その撫でるような感じもやめろ!
「あはっ、変な声」
真人様の手によってゆっくりプールの中に入らせられた。
うん。温かいなぁ。
それしても、距離が近い!
こんなにくっつかないとプールの中に入れない?
腰をガッチリ捕えられてる感じだ。
「真人様」
「なぁに?ん?」
「駿君のところに行きましょう。1人で泳いでますよ」
「う~ん。君は服を着たままだからね、スムーズに泳げないから、みんなで遊べることをしようか」
「それはいいですね」
なので、離して下さい!
「真人様。いい加減、離して下さい。それ、セクハラですよ」
「楠。黙ってろよぉ」
「駿の目の前でやめて下さい」
「見てないよぉ」
「そういうことじゃないので」
「大丈夫だってぇ。この場で襲ったりしないから」
「真人様!」
「はいはい」
スルッと真人様は離れ駿君のところまで泳いでいった。
「23番。大丈夫?」
「はい」
「そっか。それならいいけど」
「助けていただきありがとうございます」
「あまり、近づかないようにね。君はまだ真人様の性格を分かってないから」
「はい」
真人様も変態だったか。
おい、この屋敷は変態が2人もいるのか。
「おい!早く来いよ!」
駿君が手招きしている。
すぐ横には真人様が立っていた。
私は楠の後ろ側に移動して、真人様から手が届かない位置に行く。
「さて、派手に落ちた23番も一緒に遊ぶことになりましたが。着衣ですので思う通りに動けないでしょう」
「宝探しでいいじゃん。さっき、邪魔されたからな」
駿君の目が冷たいです。
だって、すべっちゃたんだもん。
「宝探しなら大丈夫です。やりましょう!今度は、チームでやりませんか?従業員チームと真人様・駿様チームとか」
「おぉ!それ、面白そうだな!俺、やりたい!真人兄ちゃんと組みたい!」
やる気ですな!
「うん。いいよぉ。でも、負けたら罰ゲームだねぇ。勝ったら何かあげるよ」
マジか。
何かくれるのか。
流石、真人様だ。
「では、僕も勝ったら何かプレゼントしましょう」
あらっ、楠もやる気。
「時間は携帯で計りましょう。23番、全力でお願いね」
「分かりました。手加減なんてしません」
それぞれ、配置に着いて楠の合図でゲームをスタートした。
服を着たままで少々動きにくいがなんとかなりそうだ。
うーん。
投げた本人でも見つけづらいな。
水中からだと霞んで見える。
あっ、あれか。
平泳ぎで近づき1個ゲット。
あれもだね。
こっちもだ。
これも、あれも、あっちもか!
息が苦しくなり1度息継ぎをしようと上に上がる。
息を吸ってまた潜る。
それを3回繰り返すと時間になった。
「楠、数えてぇ」
真人様は宝石を楠に渡す。
私も宝石を渡した。
「23番!どうだ?できたか?俺、かなりいいと思う!」
「駿君。それはどうかな?私もいいと思うぞ」
「いやいや、服着ているからな。重いだろ」
「ハンデだ」
「可愛くない奴」
「ふん。可愛くないよ。分かってるよ」
「あっ、へそ曲げた」
「そんなことしてない!」
「駿と23番は仲良しだねぇ。俺、びっくりだよ。駿は真人兄ちゃん、真人兄ちゃんって俺のことばかりだったのにさぁ。食事の時間、君の話ばかりだったよ。今もそんな風に言い合いするとか」
真人様はニコッと笑う。
その表情はちょっと作っているような感じだ。
そして、冷たい。
「では、発表します。勝者は僕と23番ペアです」
やった!
「やった!!私、凄い!」
「マジかよ!?何個取ったんだ?」
「駿は12個。真人様は10個。僕は11個。23番は16個です。まぁ、投げ込んだのは23番だからね」
「あっ!そうだよな!?ダメだ!もう1回だ。目を瞑って投げろよ!」
駿君に言われもう一度の宝探しゲームをすることに。
今度は目を瞑って投げ入れる。
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