第27話
楠が見事に固まっている。
まさか、断られると思ってなかったようだ。
「俺、23番がいい!」
「駿。いい?彼女も忙しい。そろそろ、休ませてあげないと」
「一緒に寝ればいいじゃん」
「……………………」
あっ、また固まった。
うん、ダメだね。
「楠さん。お許しをいただければ私が駿君のお相手をしますよ」
「駿君?」
「あっ……………………」
様付は?て顔してるね。
「楠。23番は特別な。敬語もなし!俺がそうしろって言ったの。こいつ、素が面白い。遊んでいるときは最高だった!俺の部屋まで案内してやるから!」
「駿君。そろそろ、真人様が帰ってくるからさ。私もお仕事があるの」
「夜に来るよな?」
「う~ん。許しがあればね」
「楠!許せよ!俺、23番とならお利口にする。いたずらしない」
眉間にシワを寄せてしゃべるとか可愛い。
小さいときの弟みたいだ。
「分かった。その言葉忘れないでね。23番、申し訳ないけどいいかな?寝かしつけるお仕事」
「はい。大丈夫です」
「やった!!んじゃ、俺部屋に戻るな!23番、9時に来いよ!絶対だぞ!」
駿君はそう言って走っていった。
廊下を走るなと叫びたい。
「23番。君、何やったの?あそこまで懐く?数時間しか相手してないのに。一緒にお風呂まで入って、夜まで指名されるとかさ」
「遊んだだけですよ。サッカーとか」
「サッカーしてあそこまで仲良くなる?」
「なります」
「あのさ?あの子は11歳だよ?一緒にお風呂とかさぁ」
「駿君はお風呂を怖がってました。そういう興味を持ち始める微妙な時期なのは分かってましたが、それよりお化けを凄く怖がってました。トラウマみたいで完全に1人で入ることを拒否しました。まぁ、問題はなにもなく。水てっぽうや足をバタつかせたり息を止める遊びをしたり。子供らしい遊びをしました。それに……………………私は残念な体なので。ははっ」
「……………………」
「明日の遊びはどうしますか?一緒に掃除をするわけにも」
「うん。そうだね。掃除はいいよ。明日は、僕が暇だから遊んであげようと思ったのに。今日と同じように遊んであげて」
「一緒に遊びますか?」
「えっ?」
「いい運動になりますよ。ですが、全力で遊ぶことになりますが。体力に問題はないですね?」
「これでも、執事だよ!体力は執事になるために必要なことだから」
うーん。
それとは別ものだと思うんだよねぇ。
「で?遊びますか?」
「うん。遊ぶ。君がどうやって仲良くなったのか気になるし」
「では、汚れてもいい服装でお願いします。駿君にもそうしてもらいましょう」
「分かった」
「では、失礼します。あぁ!しっかりストレッチしといて下さいね」
「えっ?」
「全力ですから」
私を楠に一礼してその場を去った。
自分の部屋に戻る前に2番の部屋に寄った。
2番は心配そうに駿君のことを聞いてきたので、事情を話すとすごくびっくりしていた。
「まぁ、そんなにあなたのことを気に入ったのね。なら、滞在中は23番が面倒を見なさい。駿様はいつもいつも家政婦や執事を困らせる達人なのよ」
「はぁ、分かりました。どのくらい滞在で?」
「1ヶ月よ」
「そんなにですか!」
「えぇ。1ヶ月は駿様の遊びがお仕事です。でも、あなたがお世話してくれるなら安心ね。窓ガラスを割るようなことはもうおきないでしょうから」
「……………………」
まさかの悪ガキ発言だ。
窓ガラスを割った?
凄いことをするのねぇ。
「それから、表側には近づかないように。前も大変なことがおきたから」
「分かってます。2階にも行かせません」
「お願いね」
「はい。あの、駿君のお部屋はどこですか?」
「あぁ。お客様の荷物などを預かるお部屋分かる?大きいほうの」
「はい。そこなら分かります。表側じゃないほうですね?」
「そうよ。そこの列に桜のプレートが貼ってあるドアがあるの。そこが駿様の部屋よ」
「分かりました。では、本日の9時に」
「えぇ。お願いね」
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