第10話
キツイぞ、相変わらずキツイです!
しかもニコニコ顔で言われてさ。
こっちはゴキブリと戦っているんだよ。
ゴキブリは殺さないと大変なことになるからね。
「23番。あと10分で終わらせなさい」
「10分!!」
「なんですか?まだ、やることがたくさんあるでしょう。お風呂掃除に何時間もかけられませんよ。庭の草むしりや枯葉集めなどいろいろあるでしょう?昨日は少し風が強かったので庭にゴミが落ちてます。あと、窓に砂が付着してましたよ。表玄関の掃き掃除も」
やること増えてる!!
この人鬼だよ。
絶対、分かってるよ。
「23番。それと、本日の夜に鍵の修理に行きますから」
「分かりました」
そうでしたね。
私の部屋の鍵にかけ難いから修理をお願いしたんだっけ。
夜じゃなくて昼間にお願いしたかった!!
「ではお願いしますね」
立花が去っていくのを確認してから急いでゴキブリを探す。
どこだ!どこに行った!!
「ゴキブリ!!てめぇはどこに行った!!」
掃除しながらゴキブリを探しをすること30分。
やっとゴキブリを踏み潰すことに成功した。
これからが勝負だ。
水で泡を落とし風呂掃除を完了させ、洗面所の掃除も右に雑巾左に霧吹きを装備して20分で終わらせる。
廊下を走るなと言われがそんなこと今はどうでもいい。
チマチマ歩いてたら終わらないよ。
右に雑巾と左に霧吹きタイプの洗剤と脚立を持って窓掃除にとりかかる。
ちくしょー、やってやる。
あの野郎に『凄いですね』って言わせてやる。
あっ、でもこのくらい当然ですって言われそうだ。
廊下側の窓だけでも何枚あると思ってんだよ。
部屋側の窓は部屋掃除の家政婦が担当してくれてるが絶対廊下の窓が多い!!
私の心は黒いのに窓はピカピカになるとかちょっと悲しいような虚しいような。
もう9時になるのか。
庭の掃除に表玄関の掃き掃除だっけ?
あれ?
表玄関は私じゃないよね?
なら、しなくてよくない?
よし、そうしようかな。
窓の掃除が終わるとゴミ袋と箒を持って庭に出る。
まずは奥から綺麗にしていくか。
「23番。お疲れ様」
「22番。私も言われましたよ。立花さんに」
「あぁ。やっぱり風呂場に行ったのね。立花さんがそっちに行ったのを見かけたからさ。あと、いつものは立花さんに渡したから。今日も凄いよね。高級時計をポケットの中に入れておくとかさ」
「そうですねぇ。もう確認しないまま洗濯機の中に入れたい気分ですけど」
「それ分かるわ。大変なのよねぇ。確認するの。23番が休みのときに嫌な物見つけちゃったの」
「へーぇ。何を見つけたんですか?」
「避妊具」
「……………………そういうお年頃なんですね」
「私の息子と一緒でびっくりよ。それも一緒に立花さんに渡したわ」
あははと笑う22番に関心してしまう自分がいる。
私なら絶対に動きが止まる。
そしてゴミに捨てるだろうな。
「23番はこれから庭掃除?」
「はい」
「昨日は風が吹いてたからね。ゴミが落ちてる」
「立花さんにも言われました」
「立花さんに命令されたのね」
「表側の玄関の掃除も」
「表側?それは新人の仕事じゃないよ」
「だからやりません」
「よし!それでいいのよ!あそこはお客様は来るからね。先輩家政婦じゃないと。んじゃ、私は他の仕事するわ」
「はい」
庭掃除って言ってもかなりの広さだからなぁ。
池にもゴミや枯葉が……………………
あれ?これって大変じゃない?
一人でこの量をするの!?
あの野郎……………………
絶対にわざとだ。
でも、やるって決めたからにはやるさ。
なんとか1時までは終わらせないと。
せっせとゴミを取り枯葉を片付け草をむしり……………………
花壇に水もやらないと。
あぁ、外の洗い場も掃除しないと。
これも、あれも、こっちも、そっちもか!
こんなにたくさん終わるかよ!!
バシッと箒を地面に投げつける。
「あーっ、いけないことしてるぅ。そんなことしていいのかな?23番」
あぅ!また見られたよ。しかも楠かよ。
「お疲れ様です。楠さん」
後ろを振り向くとなにやら大量の本を持っている楠がいた。
「もう12時だけど終わらないの?」
「立花さんに頼まれたことが終わってないので」
「へーぇ。もういいよ。午後の人に任せていいから」
「本当ですか?」
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