第41話

その日から私は本格的な受験生になり変わった。

第一志望の偏差値は今までの志望校より10も上だ。

今から頑張って間に合うかどうか分からない。

だけど、できる限りの力で挑みたいと思う。

叶えたい夢ができたから。

陸くんが応援してくれたから。


私は寝る間も惜しんで勉強した。

塾にも通った。

大学に入るだけなら今の学力でも行けるところはある。

でも目標はカウンセラーになることだ。

大学院まで進むことを考えると、できるだけ有利な学校に進学しておきたい。


あまりの私の変わりように、宮っちも、両親も、マコちゃんさえも驚いていたけど、そんなの構っていられない。

なりふり構わず、って言葉がぴったりなくらい、私は勉強に明け暮れた。


陸くんだけは何も言わなかった。

ただ、見てくれているというのは分かった。

模試の結果が芳しくなくて落ち込む私に、まだ時間はあるから、と言って、自分の持っていた学業成就のお守りをそっと渡してくれた。


陸くんも陸くんで頑張っていた。

補講を受け、塾にも通い、宮っちとも何度も面談を重ねていたのを知っている。

彼も精いっぱいできることをしているということが、私の原動力になっていた。


私はクリスマスもお正月も返上して勉強し、春、なんとか第一志望の合格通知を受け取ることができた。

試験後の自己採点では満足、とまではいかなかったから、半分は運みたいなものかもしれない。


だけど受かってしまえばこっちのものだ。

これで4月から、私は晴れて大学生だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る