第39話

私は沈黙に耐えきれず、なーんてね、と愛想笑いでごまかそうとしたときだ。


「いるよ」


「へっ」


陸くんは真面目な顔で答えた。


「クリスマスに一緒に過ごしたい人、いるよ」


よく見ると、陸くんの頬がほんのり赤くなっている。

寒さのせいじゃないっていうのは流石に分かった。


……ああ、そうなんだ。

知らなかった。

陸くん、好きな人いたんだあ――……。


「晴は? いないの、そういう人」


私はぼうっとした頭で、陸くんの告白を反芻する。


「……いない、かなあ」


「ふーん」


陸くんは前を向いた。

無言で歩く私たち。

一番星が輝いて、夜の暗さが増していく。


指の先が冷えて震える。

もうすぐ凍てつくような冬が来るんだ。

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