第28話
放課後、私は駆け足でマコちゃんの家に向かった。
一秒も待っていられなかった。
何よりも早く、彼女の顔が見たかった。
今朝、遠慮がちに話し始めたよっしーとサナエちゃんの説明はこうだ。
――他のクラスの奴が、晴のことをまるで怖くて危険な人みたいに言ったらしくて
――怒ったマコが「晴ちゃんはそんな人じゃない」って相手を引っ叩いて、喧嘩になって
――確かに先に手を出したのはマコだけど、きっかけを作ったのは向こうだし、謹慎になるのはおかしいって私たちは言ったんだけど
――宮っちはともかく、生徒指導の先生がこれは校則で決まってることだからって譲らなくて――……
「晴、待てって!」
追いかけてきた陸くんが叫んだ。
私は構わず走り続ける。
一瞬でも早くマコちゃんに会いたかった。
でも。
「風! 出てる」
私はぴたっと足を止めて振り返った。
「うそ、出てた?」
「そよ風程度だけどな」
追いついた陸くんがぜえはあと息を切らしながら答えた。
確かに、さっきから向かい風が吹いてきたなとは思っていた。
けどまさか、また私が無意識に出していたなんて。
「焦りすぎ。心配なのは分かるけど、マコは逃げないから」
「……うん」
と答えたものの、私は気が気ではなかった。
私のせいでマコちゃんを傷付けてしまった。
私のギフトの代償を負わせてしまった。
どうしたら償えるのか正直分からない。
でも、とにかく彼女に会わなければ始まらない。
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