第462話

自分の机に置かれているのはたくさん課題が記載されている紙だ。


これを必ずやらなければならない。


レポートを完成させるためには書籍を色々読んで………………


読むだけで終わりそうだ。


そして、洋菓子と和菓子をそれぞれ作り写真を撮りまとめる。


レポートだけでいいよね?



「は〜ぁ、洋菓子だけでいいのに和菓子も作るなんて。短い冬休み期間に作るって大変だよね?これ、終わるかなぁ?」



大塚さんは既にやる気がないらしい。


だが、やらなければいけないことだ。



「椎名さんはこの後暇?」



「えっ?まぁ、特に用事はないけど」



「なら、ちょっと寄り道しよう!」



寄り道?



「近くにカフェができたんだ。可愛いらしい」



可愛い?


お店が?


料理が?



「何が可愛いの?」



「店員さんが」



「………………」



大塚さんにそっち系があったなんて驚きだ。



「あれ?なんか勘違いしてない?なんでそんな目で私を見るの?違うからね!いや、可愛い店員さんを見たいなって思ったのは本当だけどさ。不埒なことで行くわけじゃないよ。そこら辺の奴らと一緒にしないでくれ。私は………………癒しがほしい」



癒し………………


可愛い店員さんを見て?


まぁ、うん。


そういう人もいるよね。


そうして大塚さんに連れられて来たカフェは私が思っていたカフェではなかった。


普通のカフェに可愛い店員さんがいるだけだと思ったが、店内はフリフリキラキラ仕上げ。


メニューも意味が分からない文字で書かれており、どんな料理なのか不明だ。


お星様がキラキラ輝く夜空はあなたの物ってどんな料理?


だが、一番驚いているのが店員の服装だ。


可愛い子がフリフリの可愛い服を着て『お帰りなさいませ、お嬢様』と言う。


うん、私だってそういうお店があることは知っている。


だが………………



「可愛いねぇ。みんな可愛い」



大塚さんはキラキラと店員さんを見ている。


貢ぐつもりじゃないよね?


そんなことしたら海が怒るよ。


いや、ここに来た時点でアウト?


可愛い子=女の子という認識はいけないのだ。


可愛い子=男の子という認識もある。


決めつけてはならないよね。


店内の客層はほぼ女性だ。


何やら恋愛相談ブースもあるらしい。


それが凄く人気らしい。


話を聞いてもらうため何時間も待つとか。



「これは癒しなのか?」



「癒しだよ。ちなみに、めっちゃ肌が綺麗な子もいてさ。おすすめの化粧水とかメイクの仕方とか教えてくれるよ」



カフェというか相談室みたいになってない?


でも、女性客が多いのはそれが目当てでもある。


確かに、肌が綺麗だしメイクも上手だと思う。



「ダイエットの方法も教えてくれるらしいよ。それでマイナス10キロ痩せた人もいるって。気軽に聞けちゃうのがいいよねぇ」



「そう」



なんでもありな相談室。



「お料理はお決まりですかぁ?お嬢様」



入店してから料理を選ばないで辺りを見ていたのはダメだよね。


早く選べというわけか?



「あっ、私この王子様のハートも鷲掴みな甘くてキュートな宝石箱をください」



これ、じゃだめなの?



「私も同じものを下さい」



「はい、かしこまりました。お飲み物はいかがなさいますかぁ?」



「んじゃ、ピーチで。椎名さんは?」



「同じでいい」



ドリンクは普通なのかよ。


そう思いドリンクメニューを見るとそうでもなかった。


ブラック、ホワイト、グリーン、イエロー、ブルー、レッド、ピンク。


色?


一部、おかしいのがあるよ。


なんで色?


ハテナマークが飛び交う中、店員さんは去っていき大塚さんはただ癒されていた。


カフェというものは静かお店が多いが、ここは静かなお店ではない。


店員さんが定期的にグルグルとテーブルを回ってくるのだ。


つまり、店員さんとお話ができる。


お見合いしてるみたい。



「お嬢様たちはケーキが作れるんですかぁ?すご〜い。難しいじゃないですかぁ、ケーキって」



接客業をしている店員さんて凄いなって思うけど、ここまで立派な人は見たことがない。


完璧な笑顔をキープしている。


プロの接客だ。


私が変なこと方向で関心している間、大塚さんはおすすめのメイクを聞き出そうとしていた。

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