第448話

時間は夜の10時。


夕食を食べたのは今から3時間前。


そして、今からラーメンとアイスを食べる。


コンビニで買ってきたカップ麺にお湯を注ぎ3分待つ。


アイスはラーメンを食べ終えた後に食べる。



「フフッ………………フッ、フフッ」



「なんか不気味。なんで笑っているの?楽しいことあった?ラーメンが出来上がるのを待つだけなんだけど」



大塚さんはラーメンを見ながら笑っていた。



「いや、なんか最高じゃん。この時間にラーメンとアイス。太るもん食べる。もっと遅い時間でもよかったけど」



「それは遠慮したい。眠い。非常に眠い」



「新幹線で寝てたのに?」



「眠い。外に出るのって体力使うから」



「明日大丈夫?明日が本番なんだけど」



自由行動か。


大丈夫。



「問題ない。食べたい」



「なるほど。食欲が上をいくか。うん!いいね!そして、3分経ちました!」



蓋をとり熱々のラーメンを食べ始める。


エアコンが効いている部屋で熱いラーメンを食べる。


凄い贅沢してる気分。



「明日、寝坊しないようにしないと。大阪を満喫するためには早く出発しないと!」



「そうだね」



寝坊しないように目覚ましをセットしてるから大丈夫だと思うけど。


ズルズルとラーメンを啜っているところにスマホがなった。


私のではない。


大塚さんは片手でスマホを操作してラーメンを食べながら電話に出た。



「はいは〜い」



夜にしてはテンションが高いな。


お酒飲んでるわけじゃないのに。



『なん?テンション高い』



スピーカーにしたのか海の声が聞こえる。



『つーか、何食ってん?』



「カップ麺。ほれ」



『マジだ』



あれ?


スマホの画面を向けているってことは見ながら会話してるのか。



「椎名さんも食べてる」



「いや、こっちに向けないで」



私のことはいいから。



『なん?嬢ちゃんは食ってんか?こんな時間に?夕ご飯食べてないんか?』



「違う。夜食だよ。夜食にカップ麺食べてるの」



『胃にわるーよ。グルグルになるんよ』



「大人だってこんな時間に飲み食いしてるでしょ。それと同じ」



確かにそうだ。



『まぁ、そんなこともしてるなぁ。明日、早いん?はよー寝て出かけんと』



「親がいないこの日を満喫してるのさ」



『自由行動だっちゃ?』



「そうだよ。椎名さんと一緒に行くの」



『そうけ。車には気をつけてな。変な人に会ったらすぐに逃げるんや』



「大丈夫だって。椎名さんもいるし」



恋人の会話というか子供を心配する父だな。


小学生じゃないんだから。



『知ってるヤツでもすぐに逃げるんよ』



知ってるヤツ?



「それ、どういうこと?知ってるヤツがこっちにいるってこと?」



なんでそんな意味深なこと言うわけ?



『あ〜ん〜え〜と、会わんと思うんけどなぁ。まぁ、念の為ってこっちゃ』



会わないと思うけど?


誰に会わないって?


何が念の為?



「誰に会わないって?ハッキリ言いなさい」



『ん〜、仕事の関係で壱夜がそっちに行ってるらしい。まぁ、裏の仕事だから忙しすぎてそんな暇ないと思うんけど』



「私がこっちにいること知ってるってこと?」



『壱夜だからなぁ』



だからなぁって………………


なんか、ふわってしてる。



『別に困るもんでもないっちゃ。会ったからって何か起こるわけじゃないんよ。関係性が変わったんしなぁ。壱夜も仕事中に声を掛けるアホはしないっちゃよ』



それはそうだけど。


その言い方だと仕事が終わってから会うかもしれないって言ってるように聞こえる。



「あぁ、あのイケメンさんか。大阪にいるなら会いたいんじゃない?親いないし」



ラーメンを食べ終えた大塚さんはアイスに手を伸ばしていた。


私、まだ食べているんだけど。



『親がいないしって………………そんなん言っちゃダメっちゃね』



「でも、実際そうだよね?親がいたらできないこともある。海さんだってそうじゃん」



『グッ、それは、そうなんけど。いや、俺と壱夜ではちょっと違くてなぁ。壱夜のほうが重さがあるっていうか。ん〜、まぁ、あれなん』



説明できてないよ。


最後は誤魔化せばいいってことにしたよね?


海との電話は大塚さんが寝る頃まで続き、最後は大塚さんはブツッと切った。

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