第432話

海の様子を確認できたので、こっちはほぼ解決としよう。


細かく聞くと嫌がるだろうし。


この2人を監視したいわけではない。



「仕事は順調なの?お店とかお店とかお店とか」



「お店しか言っとらんよね?お店は問題ないっちゃ。嬢ちゃんも手伝ってくれてるし、かなり良くなったと思うん。ぼちぼち料理も習って作れるようになってん」



「何を作っているの?」



「インスタントラーメン」



………………。


コイツの髪の毛全部削いでやろうか?


作れるようになったって言ったよね?


なのにインスタントラーメンってどうなの?



「頑張りましょうレベルね。お店の料理を作れるくらいに成長しなさい」



「ん〜何年掛るんやろうなぁ?包丁握って野菜切るの凄く大変なレベル」



「刃物を取り扱うの得意でしょ?それで、バッサリ人斬ってるでしょ?包丁くらいで何を言っているの?」



包丁は小さくて握りやすいでしょ?


サバイバルナイフと違って斬りやすいでしょ?


なのに、なんで野菜を切るのが大変なの?



「包丁とナイフは別もん!インスタントラーメンでも、そのまま作るんと違うっちゃよ?アレンジして作るん」



「そうなの?」



「お店で出せるもんじゃないけどなぁ、まかない程度にはなるって言ってん。だから、嬢ちゃんも食べる日が来るとーよ」



「いや、それはちょっと………………」



「えっ?なーで?引き気味?なーでなーで?おかしとー。そりゃないわぁ」



「光さんに作ってもらうからいい。私が食べるより大塚さんに作ってあげたら」



「そんなことまだできんよ。そのレベルじゃないん」



毒味をしろって言いたいのか?



「毒味はしない。完成品を食べさせろ」



「ど、毒味なんてッ!そんな酷い言い方しなくてもッ!嬢ちゃん、トゲトゲ程々にしてくれっちゃッ!ガラスのハートなんよ?」



コイツは何を言っているんだ?


誰がガラスのハートだ?


脆いハートだったら生きてないでしょ。



「えっ?無反応?それはそれで悲しい………………」



「平和ね」



「全く関係がない言葉が出てびっくりなん」



関係ない?


そんなことないでしょ。


自分が何をしているのか分かってないの?


最近までよろしくないことをたくさんしていたのに、今では料理を教わっているのだから。



「裏の仕事は?喜一がいなくなって、それほどじゃないんじゃない?」



「裏?まぁ、危機的状況じゃなくなった分、仕事の量は減ってはいるんけど。全く無くなるわけじゃないっちゃ。古いヤツが居なくなったら新しいヤツが出てくるもんっちゃね。それを把握しておくのも大事っちゃ………………壱夜の敵は今より多くなるん。分かるん?それは嬢ちゃんにも影響しちょる。こっちに影響が出る前に壱夜が潰すかもしれんけど、抜け穴つーもんはどこでもあるんよ。完璧って言ってもあるっちゃね」



「そうね。弱点みたいなものだから、私は。私もそうだけど周りの人たちもそうでしょ?例えば大塚さんとか。使えるものは使う。そうじゃない?だからって閉じ込めないでね」



「そんなことは………………あ〜、いや、状況が変わる場合は………………」



ハッキリ否定しろよ。


まだ、ダメだったのか。



「そうならないように、敵は徹底的に潰さないとダメらしい」



「怖いことを言うっちゃ。平和にしよーよ」



あなたが平和にしない可能性があるからでしょ?



「嬢ちゃんの友達は大丈夫なん?そっちのほうが心配だと思うんけど」



友達?


亜紀ではないだろうから真理亜のことか。


真理亜の状況を知っているのね。


大塚さんのことしか頭にないのかと思っていたけど。



「真理亜は、そうね。今のところは大丈夫だと思うけど」



「そーけそーけ。今すぐってわけじゃないらしいからなぁ。風間もよく我慢しちょる。すぐブチギレると思ってんけど、そうしないのは大人になった証拠だっちゃ」



なんだろうか。


風間もそうだけど海もそうだよね?


そう言うとまた酷いとか言われるから黙っておくか。

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