第427話
真理亜の態度は変わらないのはいいとして、雪や風間は変わっていくだろう。
雪はまだ理解力はあるが、風間は全く違う方向にいかないか?
いや、もし違う方向にいった場合は処理対象になる。
それが狙いじゃないよね?
まさか、そんなことまで考えているわけ………………ないよね、うん、ない。
「真理亜ちゃんは表と裏が上手くなったね。使い方というか渡りが上手いというか。上手になって欲しくないところだけど、状況的に無理だろうから。素質がある子は伸びもいいし。いや、ホント伸びちゃダメなんだけど。高校の時はまだマシだったのに、最近目立ってきたよね?そういうところが惹かれちゃうんだけどなぁ」
「妬みとか恨みとかそっち系の感情って残るんですよねぇ。使い倒して最後に捨てる女もカッコいいと思います!」
「凄いこと言うようになったね。捨てるって言ったよね?真理亜ちゃんの目指す先が心配だなぁ。医者になるために医大に行ってるのにね」
「限定された人だけです!」
「本当に育ったね」
育っちゃダメでしょ。
お父さんも感心しないで。
「風間、お前宣言されてるぞ。金ズルって思われてるぞ。それでいいのか?」
光さんは悲しい表情で風間に訴える。
そうよね、脈なしで金ズルで最後に捨てますって言ってる時点でどうしようもない。
なんだか、私まで悲しくなるじゃんか。
風間なんかに。
「裏の女と比べたら可愛いだろ」
「そりゃそうだ。別もんだろうな。だが、利用されているってことは一緒だろ。内容は違うが」
「スイーツの店に並んで買って来いとか、限定品が食べたいからすぐに行けとか、どこが一番安いのか店を回れとか。そんなのばかりだ。可愛いだろ。アホみたいな命令で」
「それ、部下に行かせてないよな?自分で行っているんだよな?」
「全部行けるわけないだろ。全部行くためには人を使うしかない」
「………………違うだろ。そうじゃないんだよ。お前が行けよ」
「何事も分担作業だ。まぁ、部下は意味不明な依頼に首を傾げていたが。後から電話が来て、本当に並ぶんですか?って言われた。目の前にどう見ても女が好きそうな建物があって、女ばかりが並んでる列に男が並ぶには抵抗があったらしい」
真理亜の望みを叶えてないが、物はしっかり手に入れているようだ。
真理亜はその列に風間が並んで欲しかったはずだが、雪と違って風間は頼める相手がいるからね。
ネットで現地を調べられる世の中だもの、自分が行かない選択はできるはずだ。
「君もそこは騙されたフリをして行きなよ。その姿を真理亜ちゃんが見て笑っていたのに。誠意を見せてあげてよ」
お父さんも風間が行くべきだと思ったらしい。
「そうらしいな。物を渡したとき、なんで並ばなかったのかと言われた」
「ほらっ!可哀想に。きっと楽しみにしていたはずなのに。表を経験したいんでしょ?色々経験しないとダメでしょ。列に並ぶくらい問題ないよ。女の子だけしかいない列だろうが関係ないから。誠意を見せなさい、誠意を」
へ〜ぇ、現地に行ったのね。
そんなに見たかったのか。
風間が居心地悪そうにしている姿を。
「激写してやったのに。凛ちゃんに送るつもりだったのに!これだからお坊ちゃんはダメなんだ!自分の足で歩くってことを知らないんだよ!笑いのネタにしようと思ったのに期待外れだ」
あぁ、真理亜は私に写真を送るつもりだったのね。
「真理亜ちゃん、もっと頭を使わないとダメだよ。ちょっとの意地悪じゃ意味ないから。高級料理をたくさん食べても意味ないし。豪華客船に乗せてやる発言をする男だよ?もっと精神的にくるものじゃないとダメだと思うけどなぁ」
精神的にくるもの?
それは真理亜がやるの?
お父さん、それはいくらなんでも無理でしょ。
「例えばどんなことで?」
「そうだなぁ………………もう彼氏作っちゃえば?」
お父さんの言葉に驚いたのか、真理亜は目をカッと見開いて驚いた。
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