第403話
風間が諦めるまでと言っても期間は長そうだ。
長い期間ずっと警護するのも………………
限界があるしなぁ。
それが分かって動くかもしれないし。
「あなた、凄く面倒ね。ちょっと一回どっか行ってくれない?日本から遠い場所に」
「はぁ?」
「雪じゃ太刀打ちできないし」
「いつも後ろを追いかけている男のことか。アレはアレでいい。害虫駆除はしてくれている」
「それはそれで問題なんだけど。それが本当に害虫なのか怪しい」
「害虫だろ」
「………………」
きっと全員がその分類ではないはず。
中には害虫がいたかもしれないけど。
雪もなぁ………………
私たちには普通だけど………………
いや、普通というか私たちの中ではマシというか。
常識がまだあるほうだと思う。
でも、柚月と今でも繋がりがある人だから普通ではないか。
敵だと判断したら行動するだろうし。
裏のことに少し携わっていたから、そこら辺は敏感なのだろう。
頭の回転は悪くないし。
「あら?そうだった。雪がいるじゃない。あの人も裏に関わっていたから。しかも、柚月と今でも繋がりがある。他は切っちゃったけど、雪だけは大丈夫らしいから」
そうだ!
表のことも裏のことも知っている人がいた。
亜紀は風間に構っている暇なんてないだろうし。
今は怪我を治してアメリカに戻らないと。
このままだと日本に帰って来るのがかなり遅くなるのでは?
あっちでも裏関係のことやるらしいから。
ジュンさんの下で頑張るらしいから。
1年2年の話ではないだろう。
ジュンさんはしっかり教えたいみたいだし。
亜紀だって中途半端に終わらすつもりはないはずだ
「普通に考えろよ。自分も狙っているのに、教えるのか?アホだろ」
「………………」
いや、うん、そうなんだけどさ。
でも、雪ならちょうどいいって言うか。
真理亜に尽くすという意味は分かるのでは?
「凛ちゃん。それってさぁ、駄犬みたいに風間君もくっつくってことだよね?駄犬は大学の前で待ってるし。ドーナツとか並んで買ってくれるし。もはや下僕。風間君がそれをやるの?笑える」
なんだろう。
私の頭の中がいろいろ駆け巡っているぞ。
師弟関係みたいになってる。
弟子が風間でしょ?
「うわぁ、ありえないわぁ。風間が雪の真似は無理よね。ごめんなさい。私が馬鹿だったわ。あなたは雪のようにプライドを捨てられないわね」
雪が教えるとなったら何もかも捨てて全力で真理亜に尽くせ!ってなりそう。
「あのなぁ、お前らは分からないのかもしれないが。アイツも中々だぞ。プライドとかじゃない」
「それは分かっているから。雪だって裏を知る者だし。癖って抜けないものでしょう?いくら、適応性がないって言われても」
ただねぇ、なんだか笑えるでしょう。
想像しただけで。
あっ、ヤバい。
また笑いそう。
「お前らなぁ、笑うな」
真理亜も同じことを考えているのか私と一緒に笑っている。
似合わないことを想像すると面白いわね。
しかし、どうしたもんか。
「失礼します。そろそろ時間ですのでお帰り下さい。これ以上の接触は困ります」
ドアを開けて入ってきたのはミンエイさんだ。
どうやら面会時間が終わりらしい。
まぁ、かなり話したからいいか。
「短いな。まあいいか。また来る」
そう言って風間は大人しく病室から出ていった。
「ねぇ?真理亜。風間のことはどうする?」
「ん〜、難しいよね。凛ちゃんも対応に困っているでしょ?学園の時もそうだったよね」
「まぁ、裏会社は馬鹿にできない。アレでも大きなところなの。アレでも、ね。今は前よりもっと隠しているからわかりづらいし」
全貌があまり出ていないからそこまで恐怖を感じたいはしないけど。
「誠也さんから連絡が入ってます」
「えっ?お父さんから?」
このタイミングで電話が来たか。
ミンエイさんはスピーカーにしてテーブルに上にスマホを置いてくれた。
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