第402話

真理亜と風間の様子を交互に見る。


機嫌が悪そうにモロ出しをしているのは真理亜だ。


一見すると普通に見えるのは風間だが、心の中では「はっ?」ってなっているだろう。


お前に何が分かる?ってことだろうなぁ。


面倒なヤツ。


だから、お父さんに言われるのに。



「そうね。失礼な言い方ね。ミンエイさんは真理亜のことをしっかり守ってくれているけど。本当に立てるのかしら。今の状況だと無理だと思うけど。心の中では何言っているんだ?ってなってるでしょう。あなたは表側の考え方を求めていない。真っ先に裏の考えを出す。まぁ、それが普通なんだけど。表のことを考えたら何事?って思うし」



「凛ちゃん!言ってやれ!言ってやれ!ミンエイさんは、冷たいところもあるけど面倒見は凄くいい!基本は冷たいけど!」



あの、真理亜さん。


ちょっとおかしいよ。


………………。


いや、受け取る側が勘違いするかもしれない。


そうなると、ミンエイさんが酷い目に合うってことだけど。



「言っておくけど、ミンエイさんだけじゃないからね。蓮さんも愁さんも面倒見はいい。それに、亜紀もそうだし。表ってそういうものだから」



「便利だな。表は」



「時間かかりそうね。一生理解しなくていいけど。あなたの周りは危険すぎて。柚月と取引したみたいだし。喜一が亡くなって動きやすくなったはず。取引の邪魔だったのかしら?海外にまで手を伸ばそうとしているのが面白くなかったのかしら?」



「確かに動きやすくはなったが、全て綺麗に終わったわけじゃないからな」



「なら、危ないわね。あなたは裏で派手に動くでしょう?情報の売り買いをメインにやる裏会社でもないし。敵が多いと面倒事も多い。そうなると縛りも多くなる。私のように生活するのって難しいと思うけど。自分だけじゃなくて会社も改革が必要になるから」



風間の裏は向かないってこと分かってほしい。


お父さんと違って裏が濃すぎるから。



「お前、俺のこと結構馬鹿にしてるだろ?」



「教えているつもりなんだけど」



「雑だな。短い期間で考えていない」



「………………卒業したらアメリカに戻るでしょう?。時間を見つけて日本に来るの?何回も?アホ」



「日本に来るのは苦じゃない。そもそも、あちらこちら飛び回っていたからな」



だからって、来なくてもいいでしょ。


暇じゃないはずだし。



「ご馳走様でした!ふ〜ぅ、満足満足。食べたい物を食べたいだけっていいよねぇ。凛ちゃんも満足した」



「えぇ、そうね。病院食と違って味がしっかりしているから美味しい。味付けって大事ね」



「退院したらラーメン屋さんに行かない?毎日行列なんだよ。凛ちゃんの家から少し遠いけど車で行けばいいし。ずっと家にいるより外に出よう!外の空気をいっぱい吸おう!公園でピクニックもいいよねぇ。夏は暑さで死んじゃうから秋かな。秋か………………どっか行きたいなぁ。秋は旅に行きやすい季節だよねぇ。暑くもないし寒くもない」



退院したら家にいることが多くなるかもしれないし。


確かに外に出て少しでも体を動かすべきだな。


だが、真理亜の言う通り夏は暑い。


出かけるなら涼しい場所がいい。



「水族館とかならそんなに暑くないだろ。室内だし。お前が通っている短大の近くにあっただろ。水族館」



確かに水族館はあるが………………


水族館という言葉を風間から聞くことになるとは。


凄く違和感がある。



「あの水族館か………………行ったことのない水族館がいいと思うけど。一緒に行こうとか言わないわよね?」



「誘うのはありだろ」



「………………2人で行けるわけじゃない」



「お前がいるだろうな」



少しの隙を見つけて声をかけるでしょうね。


雪がいても関係ない。


風間は雪なんて相手にしないだろうし。


雪だって風間を相手にはできない。


そうなると、もっと立ち回りができる人が必要だ。

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