第72話

家に帰り今日あったことをお父さんに伝えると「はぁ?何それ?」と言いたげな目をした。



「キャンセル出来ないの?」



「出来ないって言われた。先方に人数言ってしまったらしくて。かなり有名なお店で研修をさせてくれるからって。失礼がないようにキャンセルは不可らしい」



「………………まぁ、勉強になるから行くことについては賛成だけど。勝手なことされちゃったね」



京都に行くしかないのか。


コンテストのあるというのに。



「で?ホテルだっけ?う〜ん………………みんなと一緒のホテルでもいいけど。日向の坊ちゃんも一緒なんでしょ?ファンクラブの輩もいるはずだし。別のホテルに泊まる?研修だけしっかり受ければいいなら、その他は自由なんでじょ?」



「うん。自由だよ」



「勝手なことされちゃったんだから。ホテルも一緒とかなんか嫌だよね。よし!俺が良いところ予約してあげるよ。そこに泊まりなさい」



「普通ので良いよ。旅行で行くわけじゃないから」



「京都に行くなら良いところに泊まりなよ。すぐに行ける距離じゃないし」



いや、何泊もするわけじゃないからさ。


ビジネスホテルとかでいいのに。



「京都に行くなら八つ橋買って来て。俺、食べたい。生ね」



亜紀は猫たちと遊びながらそんなこと言った。


定番のお土産品か。


まぁ、時間があるなら買って来よう。



「行くときはみんなと一緒でいいけど。帰りはこっち行きので帰って来てね。バスの予約もしておくから。夜行バスでしょ?いや、新幹線で帰ってくれば?そっちのほうが早い。夕方頃に解散でしょ?よし、新幹線に変更ね」



もう、なんだっていいよ。


お父さんが行くわけじゃないのに、全部決めちゃうのね。



「八つ橋全種類な」



「亜紀。それは無理だから。一つでいいでしょ」



「今の八つ橋は凄いぞ。いろんな味がある」



「全部なんて買わないからね!」



賞味期限だってあるし。



「凛。悪いけど仕事先のお土産として追加で買ってくれない?生八つ橋ね。普通のでいいから。あんこが入ってるの。20個入りを1箱でいいや。あーっ、麻矢の分もお願いしようかな。まだ、会社で頑張ってるし。もう3箱追加」



お父さんも?


しかも、お母さんの分も?



「家の分も買ってきてね」



えーっ、そんなに買うの?


これは、大きめのバッグが必要かもしれない。



「んじゃ、俺も行くか。京都」



はぁ?


亜紀は思い付いたように言った。



「亜紀君も行くの?なら、追加で予約しておくね。亜紀君も行くならもっと数増やしても大丈夫だね。良かった。なら、15箱買ってきて」



「いや、増やすなよ。4箱でいいだろ」



「配達でいいから。流石に15箱は無理でしょ。それ以外に、頼むからね。それは、持って帰って」



いや、だからお父さんも当たり前のように許さないでよ。


ねぇ?


亜紀が行っても研修には参加できないからね。



「亜紀君は先に京都に行ってね。んで、15箱の配達手配しておいて。場所とかあとで知らせるから。よく知らないところにお店で買わないように」



「あー、分かった分かった。ちゃんと行く。ちゃんと買う。帰りの日で配達はいいんだな?」



「うん。いいよ。お小遣いも渡しちゃうよ」



「マジか!?」



なぜ、こうなるのか。


猫の面倒はお父さんが見るってことでいいの?


あのさ、猫の面倒を見るから亜紀がいるわけでは?



「凛。表情がヤバイよ。そんな険しい顔しない」



「だって、なぜ亜紀も一緒?」



「駄目って言っても行くでしょ。彼は。なら、行って来なさいって許可したほうがいいでしょ」



「猫の面倒は?」



「俺が見るよ。大丈夫だよ。亜紀君と一緒に行動する時間は少ないだろうし。好き勝手やるでしょ」



だから、好き勝手が嫌なの。


知らない内に何かが起こってるでしょ?



「あーっ、一旦家に帰って着替えの準備しねぇと駄目だな」



もういいよ。


どうぞ、勝手にして下さい。


勝手に京都行き決定されたり、亜紀も一緒に行くことになったり。


今日は本当にいろんなことが起こったもんだ。

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