第67話

「いやぁ、嬢ちゃんは本当に巻き込まれやすいなぁ。嬢ちゃんはそこら辺にいる女より容姿もいいからなぁ。会長さんも分かっとるから。余計にイライラするんだっちゃ。容姿はどうにもならんからなぁ」



「整形すればいいだろ。顔だって体だって作れるぞ。その女は、自分を見て欲しくてしょうがないってことだ。気づいているのに否定している。凛が突然出て来て女が慌ててるのかもな。普通に話しかけられ、普通に話し合って。日向の目には凛がちゃんと見えているって思ったんだろ。自分にはその目を向けてくれないって。最初は憧れとかただカッコイイとかその程度だったはずだ。それが、何度も見ているうちに夢を見るようになった。ストーカーは些細なことから始まるもんだ。凛は普通にしてるんだろ?特に言い合いとかしてないだろ?日向と必要以上に話しかけたりしてないだろ?普通にしていても、それが妙にイラつくこともある。普通がストーカーにとったら普通じゃないんだ」



光さんはビールを飲みながら言った。


分かってはいたが………………


いつまでもこのままにして欲しくはない。


会長の男達が私の目の前に現れたら面倒だし。


今は、日向に近寄る女の処理で忙しいようだけど。


私の前に来たらどうしようか。


昨日の件は、突然のことだったはずだ。


対処するために近くにいた自分の部下を集めただけだろう。


次、同じように男達を使うならちゃんと計画を立てるはずだし。



「嬢ちゃん。今日の日向の様子はどうだっちゃ?」



「日向の様子?別に普通だったけど。いつもと変わらない」



「ホントかぁ?昨日の件があったのにかぁ?檜佐木が何やら言ってしまったきぃ。グサグサ突っ込んだこと言っちょろうが」



確かに、思いっきり地雷を踏んでいたな。


今日の様子ねぇ。


いつも通りの女達といつも通りの集まりだったけど。


………………。


あれ?


いや、いつもより密集してたか?


囲い込んでいたような。



「嘘ばっかりじゃねぇよ。あの弟子は日向に惚れてるだろ。目がそうだって言ってる」



「まぁ、そうだっちゃ」



「いい刺激になったろ。急降下になるだろ?アレの地雷は仕事だ。それを邪魔されたら急に目が覚めるだろ」



「今なぁ、めちゃくちゃいい奴らが動いてるところなんよ。嬢ちゃんを見てる暇なんてないんよ。会長もファンクラブもそいつらを始末しようと動くはずっちゃ。醜いなぁ」



美味しいご飯があるところで、黒い話はあまりよろしくないな。



「凛ちゃん。なんか大変だねぇ。学園から出たらそれなりに平和に過ごせると思ったのに。全く平和じゃないね」



「そうだね。平和ではないかな。まさか、日向の周りがこうもドロドロとしているとは思わなかったから」



「まぁ、そのうち静かになるよ。静かにならない日なんてないからね。これも美味しい!最近、親に食費が大変だから控えなさいって言われてさ。我慢してたところだったから良かったよ。幸せ」



食事制限されたの?


食費っていくらなの?



「なんだ。ダイエットしてるのかと思ったよ。お小遣い減らされたんだね?」



「黙れ。駄犬」



「大学の帰りのドーナツの数が減ってるから。何かあったのかなって」



「お前は、ずーと見てたからね!目の前でずーと!!数が少ないなら奢ってあげようか?とか言ってよ!」



「だって、黙れって言われたから。大人しくしてたんだよ」



「なぬっ………………クソ、そんなこと言わなければ良かった」



いや、奢らせるなよ。



「仲良いな。ストーカーと仲良くなるとああなるのか。いいストーカーだな」



光さん。


納得しないで下さい。


いいストーカーってなんですか?


そんなストーカーいませんよ。



「ねぇ?真理亜ちゃんのストーカー君。君を呼んだのはご飯を食べさせてあげるためじゃないんだよねぇ。いろいろ聞きたくてさ?」



お父さんが雪の隣に座った。


そして、光さんも立ち上がってお父さんの近くに移動する。


あら?


なんか、囲い込んでない?



「真理亜ちゃんを誘ったら君を捕まえるの楽だから。真理亜ちゃんのこと本当に好きなんだね。真理亜ちゃんにも色々あるのに。双子やら風間やら」



「海がここにいるの、凄く驚いただろ?柚月の部下だった奴がなんでここで仲良くご飯なんて食べているのか。お前が柚月のこと気にしてるの分かってたからなぁ」



お父さんと光さんが怖い。


弱い虐めをしているような。


雪を見ると割と平気そうだ。


きっと、聞かれることを分かっていたのだろう。

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