第66話
「凛ちゃん。これ、美味しいね!味が染みてて」
真理亜は豚の角煮がお気に召したらしい。
圧力鍋で簡単調理だけどね。
「それは良かった。たくさんあるからね」
「うん。遠慮しないで食べるよ」
うん、真理亜らしいよ。
昨日行ったところに連れて行ったらどうなるのかな?
何回、グルグル回ることになるのか。
「なぁ?ストーカー野郎。お前、自分は白井の全てを理解してるって思うか?」
亜紀は真理亜を幸せそうに見ている雪に言った。
「ちょっと!ストーカーとか言わないでよ」
「なんだ?違うのか?お前がしてることはストーカーだろ。待ち伏せしてるし。白井の日程調べてるし。出かけると必ずお前が近くにいる。ほらっ、ストーカーだろ」
「必ずいるわけではないけど。真理亜のこと迎えに行ってるだけだし。食べ過ぎてる真理亜を見張ってるだけだし」
「でもなぁ、同じストーカーでも違うもんだな」
「………………人の話聞いてる?全く聞いてないよね?というより、なんでそんな話?」
「凛の学校にいるんだよ。ストーカー」
亜紀はサラッと答える。
そんなサラッと言えることでもないよね。
「えっ?凛ちゃん、ストーカーされてるの?どこの誰?凛ちゃんは可愛いから。魅力に当てられたの?早く始末しないと大変だよ。ストーカーは大変なんだよ。なんで、そんなこと知ってるのってくらい知ってるの。自分の個人情報とか全部知ってるからね!家の中は自分写真だからけだよ!盗撮だから!マジ、気持ち悪い。ねっ?駄犬」
「盗撮とかしてないから!家の中真理亜の写真だらけにしてないから!!そこまで粘着質じゃないから!!全部の情報とか知らないから!つーか、本気で嫌がることしてないじゃん」
「で?凛ちゃんのストーカーって何?」
「ちょっと真理亜も無視?」
なんか不憫だな。
「私にはストーカーはいないよ。ある男にいるの。大量に、ね」
「えっ?大量?」
「そう。ファンクラブというのが存在して。みんなで男を見張っているの。近づく女を悪と考えて排除する。結構、面白いことしてるらしくてね。ファンクラブの会長が一番酷いの。自分だけが理解者だって言ってる。会長にはヤンチャな男達がいるらしくて、そいつらを使って動かしている。自分の思い通りに動いてくれないと癇癪起こすし。自分のしていることが彼の将来のためだって。何言ってるのか分からない」
「もう、犯罪組織?あれ?ストーカーって単独とかじゃなかった?あれ?だって、そういうものなんじゃ?ん?ファンクラブって、そういうもんだっけ?あれ?学園の時にもそんなのあったよね?存在感薄かったけど」
ストーカーを超えた存在でもあるからね。
よく、周りを丸め込んだものだ。
「真理亜。学園のファンクラブは、僕達がちゃんと見張っていたんだよ。過激化はしてないよ。見守る会みたいな程度」
あなた達に手を出す馬鹿はいないでしょ。
ヤったら倍になって返ってきそうだもの。
怖くて出来ない。
もしかしたら、家が潰されるかもしれないし。
見ているだけで満足したり、話すだけで満足したり、そんな些細なことでいっぱいだったはず。
「はいはい。これもどうぞ」
お父さんが真理亜の目の前に唐揚げを置いた。
もう、定番品になりつつある。
「うわっ!たくさん!」
「どうぞ。ご飯もたくさんあるからね」
「はい!ありがとうございます!」
今度、大盛りに挑戦させよう。
真理亜の限界を知りたい。
ネットで調べて一緒に行くか。
「でも、なんでそんな話?凛ちゃんのストーカーじゃないのに。あっ!巻き込まれた?まさか、凛ちゃん!ファンクラブに入ったの!?」
「なんでそうなるの?入ってないから。頼まれても入らないから」
「そ、そうだよね。びっくりした。入ったのかと」
「でも、その騒ぎに巻き込まれてはいる」
「えっ!?」
だから、ここに海がいるわけで………………
あれ?
………………。
そういえば、雪は海のこと何も聞かないのね。
知りたい人がここにいるのに。
雪は真理亜のことばかり見てるけど。
興味がなくなったわけではないはずだ。
頃合いをみて話すつもりなのだろうか。
話しかけたところで教えてくれるとは思えないけど。
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