第65話

月曜日。


いつも通り学校に行って、いつも通り授業を受けて、いつも通りに帰る。


そして、家に帰ってコンテストのために大福を作る。


皮と中身を試作して失敗して試作して失敗して試作して。


テーブルにはたくさんの失敗作品。


コンテストまであと少しなのに。


間に合うのか?


これは大丈夫なのか?



「なぁ?みかんってオレンジだよな?なんで皮は緑なんだ?中身はみかん味だ」



「色々考えたらそうなった。みかんだからってオレンジにしなくてもいいでしょ」



「なるほど。味は悪くないな。悪くはないが、地味だな」



「………………」



外も中も変えてみるしかないか。


マーブル模様とか?


インパクトはあるけど、美味しそうには見えないな。



「りーん。帰ったよーって何これ!!」



仕事から帰って来たお父さんはテーブルの上に置いてある失敗作を見て驚いていた。


亜紀はその失敗作をパクパクと食べているが、なかなか減らないのだ。



「失敗作の山だよ。中身付き」



「大安売りみたいな言い方しないの。こんなに失敗したんだ。ハマったみたいだねぇ」



「見事に。難しい。あるものを作っても意味ないから、ネットで色々見た」



ネットでもカラフルな大福やフルーツの大福のレシピがたくさんあった。


それを真似るわけにもいかないし。



「それ、片付けてね。人が来るから」



「お客さん?」



「あーっ。まぁ、そんな感じかな。昨日のことで言うことがあるみたいだよ。ねぇ?亜紀君。君、結構ちゃんと見てるんだねぇ。ポスターで分かったんだ?ん?こっちはお客さんの中に娘がいてびっくりしたっていうのに。何にも言わないで来たなんて」



あっ、気づいてたんだ。


気づいてないと思ったのに。



「マジか。あんなに客がいたのに分かったのかよ。どこに目がついてんだ?何個目があるんだよ」



「2つしかないよ。娘センサーが付いてるからかなぁ」



「いや、怖いぞ。それ、怖い」



で?


誰が来るの?


そう考えながらテーブルにある失敗作をキッチンの作業台に置く。



「ご飯の準備しないとね。凛も手伝って。ちょっと多めに作るから」



「うん」



どうやら、お客さんの分も作るらしい。


お酒に合うおつまみやガッツリ系のおかずも何品か作り、テーブルの上を料理でいっぱいにする。



「そろそろ来るかな」



お父さんがそう言ったところでチャイムが鳴った。


私は出迎えようとしたがお父さんが先に動いた。


玄関先でがガヤガヤと賑やかな声が聞こえる。


えっ?


何人いるの?



「凛ちゃーん!!サプライズ的な感じで会いに来たよ!!!」



「真理亜!」



えっ?


なんで真理亜が?



「僕もいるよ」



いや、雪はいらないかな。


………………。


雪を見てるとストーカーのことを思い出すな。



「おいおい。駄犬がいるぞ。どうした?」



「ちょっと、駄犬って言わないでくれない?普通に名前で呼んでよ」



「んじゃ、犬」



「名前じゃないし!!」



2人の後ろからは光さんと海が来た。


なんか、組み合わせがおかしい。



「凛。飲み物出して。お酒が3つね。亜紀君は飲まないでね。仕事あるでしょ」



お父さんに言われて冷蔵庫から缶ビール3つとお茶を準備する。


お父さんと光さんと海には缶ビールを渡して他はお茶を渡す。



「あとは自由に食べて飲んで。真理亜ちゃんも遠慮しないで食べてね。たくさん作ったからね。さて、酔いが回る前に凛と話をしようかな」



凄い量を作ると思ったら真理亜が来るからか。


話っていうのは昨日のことか。


私はソファーに座って昨日のことを話した。



「あちゃー、それはアホやわなぁ。簡単に騙されるのか。よー考えればええのに」



海はニヤニヤと笑っている。


まぁ、予想通りだ。



「でも、手出さなくて良かったわ。檜佐木、ありがとなぁ」



「素人に手なんか出すかよ。手加減するのも面倒だしな。で?そろそろ崩れるのか?あれは、そんな感じだったが」



「んまぁ、処理するのに忙しいみたいだっちゃ。ファンクラブの中でも不満が多いみたいだしなぁ。会長を排除しようと考えを思いつく奴らも出てくるところだっちゃ」



「早めにしたほうがいいぞ。あの様子は、誰でも関係なく牙を向く。周りが見えてない。元々、見えてないが」



ファンクラブの中で不満か。


押さえ付けるのは無理だろうな。


爆発して日向を独占したがるファンが出てきてもおかしくないか。


学校の中で騒ぎなんて起こさないでほしいけど。


何かしらあるかもね。

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