第7話

次の日の放課後。


昨日行ったサークルに行くと、サークル内ははなんとも言えない雰囲気だった。



「私はちゃんとサークルに入りたいからここにいます!」



「さっきと違うこと言ってるけど。あなたね、ここのサークルは真面目にコンテストに挑戦する人達が入るの。あなたは、真面目にコンテストに挑戦するつもりあるの?呑気にお茶とお菓子を食べるサークルじゃないから。勘違いしないで」



「そんなこと分かってますよ!ちゃんと考えて入ろうとしてますから」



「どうだか。男漁りは他でやってほしいのに。あなた、最初になんて言ったのか覚えてないの?本当に嫌だ!!」



女子2人が言い合いをしているのだ。


そして、その周りにはどうしたらいいのか分からなそうにしている人達。


何か揉め事だろうか?



「あの、サークルに入りたいのですが」



「あっ、あっ!早速って感じ?あーっ、嬉しいけどねぇ」



昨日、説明してくれた人だ。


彼もどうやら困っているようだ。



「今日はやめたほうがいいですか?」



「あーっ、う〜ん。いや、今じゃないと入れなくなるから。きっと、すぐに定員オーバーになりそうだからね。いやぁ、今日は忙しくて。日向君がこのサークルに入るって知ってる奴らがサークルに入りたいって言い出して。サークルに興味なさそうなのにさ。純粋にコンテストに応募したい人達に来て欲しいのに。彼目当てで来られても。やる気がない人が入るとサークル内の雰囲気が最悪になりそうだったからさ。今、かなり揉めてるからさぁ。ウチの強気な女子と日向君の目当てに来ている女子で睨み合いと言い合いだよ。やっぱ、有名な息子だし容姿もいいし。モテるのっていいことでもないよね」



なるほど。


このサークルに日向が入るのを聞いたのか。


だから、この騒ぎなのか。


サークルに元々いた女と新しく入りたい女の言い合いか………………


女同士の言い合いは結構怖いものだ。


男にはない酷さがある。



「これは、今日明日の話じゃないかな。面接式でもしようかな?でも、それはそれで面倒だ。俺的には、椎名さんみたいに純粋な子が来て欲しいのに………………そういえば、椎名さん目当ての奴はいないな。全部、日向君関係だ」



「大変ですね」



今日、来て良かったのだろうか。


だけど、定員オーバーとかになるのは嫌だし。


私は、純粋にコンテストに興味があるだけだし。


不純な理由ではないし。



「あっ、椎名さん。なんだ、いたんだ。早いね。授業終わってすぐに来たの?………………なんかうるさいね。昨日は静かだったのに。こんなに賑やかなサークルだっけ?デザインで揉めてるの?………………そんな感じはしないけど」



後ろから声を掛けてきたのは日向だった。


今の現状の元凶だ。


呑気に声を掛けているべきではないと思うけど。



「日向さんの息子と椎名さんの娘が同じサークルか。なんだか、豪華だなぁ。他のサークルから何か言われそうだ」



なんか、フルコースみたいな言い方だ。



「だから!!!あなたみたいな子はいらないの!!!ここのサークルはあなたみたいな子はいらない!!」



「私はちゃんとコンテストに出るって言ってるでしょ!この先輩は本当に何言ってるのか分からない!」



ちょっとヒートアップしてるようだ。


そろそろ、止めたいといけないのでは?



「このうるさいのは全てあなた絡み。自分の始末が悪いからこうなる」



「俺、ここのサークルに入るって言ってないのに。まぁ、周りが騒いでいたからなぁ。それで、知ったんだと思うけど」



「………………」



そうじゃないでしょ。


あなたがしっかり言えばなんとかなるかもしれないのに。


なぜ、それをやらない。



「あなたはどこか他人事って思ってるけど。これは他人事じゃないから。あなたがここにいて、ここのサークルに入ろうとすると、あなた目当てのアホなハイエナ共があなたを追いかけて来るの。始末は最後までしないとハイエナは群がる。しつこいから。最後の最後まで徹底的に始末しないと、ね」



周りが息を呑んだのが分かった。


そこで、ハッとなる。


一瞬、表ではないものを出してしまったことに。


危ない。


ここは学園とは違うのだ。


もっと冷静にならないと。

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