第4話

「椎名さん。これ、凄く美味しいと思わない?チーズがトロって!肉汁もしっかり出てくるし!チーズと肉汁の組み合わせが最高。毎日食べてたら太るかも。これは人気にもなるね。間違いないね」



黙々と食べていた大塚さんがアホな会話を聞きたくなくて話しかけてきたのだろうか?



「うん。凄くトロトロだね」



ハンバーグを切るとチーズがとろけて凄く食欲を唆る。


味もいいし。


学食だからって侮らないほうがいい。


レンジでチンッじゃないからね。



「そのハンバーグ、俺の父親が監修したんだ。結構、時間かけて考えたらしいよ。何度も試行錯誤してたから。その所為で3食ハンバーグだったけど」



急に日向の声が聞こえた。


しかも、少々声が大きい。



「へーぇ。日向君のお父さんが。なら、美味しいはずだね」



どうやらこちらに話しかけていたらしい。


大塚さんは何かを納得したのか頷きながら食べている。


日向の隣にいる2人は面白くなさそうだけど。


無視されている状況でやっと喋ったと思ったら自分達にじゃないと分かるといい気分ではないだろう。



「日向君のお父さんが監修してるの?すごーい!!」



「明日は食べてみようかなぁ。間違いなく美味しいよね」



うん。


ガッツがあるというか。


諦めない気持ちは大切だけど、見切りも大切だと思うよ。


周りの目とか気にならないのだろう。


周りの人から見るとあまり好ましいものではないが。



「ねぇ?聞いた?今度、チームを組んで菓子作りするらしいよ。初めてのチーム組だね。テーマは分からないけど。初めてだからそんなに難しくないと思うよ」



「大塚さんって、いろいろ情報持ってるよね。どこからそんなにたくさん仕入れてくるの?」



本当によく知っている。


いや、聞いてくるって感じか?


人脈が広そうだし。



「いや、なんか情報屋みたいな感じだけど別に仕入れてないからね。先生が言ってたんだよ。聞き耳だね。何人のチームにするのか分からないけど。自由に組めるようなら一緒に組まない?やっぱ、相性大事でしょ」



「いいよ」



チームか。


仲良くできればいいけど。


私、コミュニケーション能力低いから。


大塚さんがいればなんとかなりそうだけど。



「遠藤先生の授業もそろそろ始まるらしいよ。ドキドキするよね。凄く厳しくて怖いって。先輩から聞いたんだけどね。泣く子が必ず出るって噂だよ。どんだけ厳しいのか知らないけど。だけど、評判はいいからね。最後まで頑張った生徒はどの子もいいところに就職してるみたいだよ。留学先でもいい成績残してる子多いし」



「大塚さんは先輩方とも仲良しだね」



「高校からの先輩なんだ。あっ!椎名さんはサークルに興味ない?これも、先輩に勧められたんだけどさ。勉強になるサークルも多いから入っていると就職とか授業とかいろいろ活用出来るって」



「サークル?」



「サークルは自由度高いし。規則もガチガチじゃないのあるよ。高校の部活みたいな感じじゃないから、気軽な感じで見学出来るよ」



サークルか。


ここの短大はサークルの数も多かったはずだ。

 

お父さんと相談だな。


バスの時間もあるし。


こんなときはバス通は不便だなって思う。


車だったら時間を気にしないのに。


やっぱり、早く合格を貰わないと駄目かも。


ここは、誰かに説得を頼むべきか?



「考えてみる。大塚さんは決まってるの?」



「まだ。今は見て回ってる。いろいろあるよ。くだらないサークルもあるけど。ケーキ研究会とかあって。自分が食べたケーキを自分なりに評価して発表したり。自由だからね。パッケージ研究会とか!なんじゃそれ?ってなるよね。お菓子のパッケージを研究するんだって。椎名さんもいろいろ見て回ってみたら。馬鹿みたいなものもあって面白いよ。まぁ、スキルアップ出来そうなサークルを探すことになると思うけど。先輩が勧めてくれた意味ないし」



どんなのがあるのか見て回るしかないか。


見て回ってからお父さんに相談するのもいいのかもしれない。


今日あたり見てみるか。

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