第27話

再びガチャリとドアノブが乱暴に回される音がした。

最初は気のせいだ、と目を開けるのをやめた。


ギシリとベッドのスプリング音と共に足元が沈む瞬間に嫌な予感がして息を殺す。


徐々に冴えてくる意識の中で絶対に目を開けちゃダメだと強く言い聞かせる。


右側の枕が沈み、ほのかな体温が頬に感じた。

これこそ夢であればいいのに、と願った。


スッと首元に入り込んだ温かさにたまらなく声を漏らしそうになった。


「……起きてるんだろ?」


少しの反応も見逃さないで耳元で囁く悪魔のような男の声に、あたしは過剰に反応してしまった。


まずい。


「声、出すなよ?」


グッと絞められた指の力に呼吸が止められる。

そのままペロリと瞼を舐められ上機嫌に笑った。

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