第26話
息を飲み込む瞬間にハッと目が覚めた。
今が夢か現実か分からないくらいに動揺していた。
「……夢?」
部屋の中、規則正しい姿勢でベッドに横たわるのは自分だけ。どうやらさっきのは夢だったらしい。確認が取れてようやく身体を起こす。
今何時だ、と携帯を見ればまだ早朝。
午前中いっぱいは寝ておきたかったから開き直って二度寝でもしてやろうと再び横になった。
我ながら図太いな、と鼻で笑ったけど虚しいだけだった。
寝返りを打って写真立ての机に目を向ける。
伏せたままの写真だったけどその横に空き缶を見つけた。
あぁ、やっぱり。
部屋では吸わないでと言ったのに。
吸い殻は片づけてって言ったのに。
きっと空き缶は灰皿替わりに使ったんだろう。
次に起きたら片づけよう。そう思ってゆっくりと目を閉じた。
今度は夢も何も見ないでぐっすり眠りにつける。そう思ってたのに現実はそう甘くないんだと、この家で、部屋で実感する。
まるで誰かに見られてる感じがして。
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