第22話

何度目かのシャワーを浴び入念に身体を洗う。

肌が真っ赤になるくらいゴシゴシと擦って、熱い湯船で殺菌消毒するようにひたすら耐える。


逆上せる前にお風呂を出てさっさと自室に籠るとようやく息を吐ける。あの輪の中に居ると息苦しくてしょうがない。


「………はぁ」


誰も居ないのに誰かが見てるように感じる。

それはただの思い込みかもしれないけど、嫌でも感じる。


――思い出したくもない記憶に縛られて。


「お母さん……置いていかないでよ」


机に伏せた写真立てを起こして呟く。


そこに写るのはすごく綺麗で儚げな母の姿。

自分の母親なのに別人のように思えるその姿は、まるであたしを映した鏡のようで。


いずれは似たような顔になるんだと思うと苦しくなった。


血を分けた親子が似てるのは時に残酷だ。

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