第21話
嫌だな、早く家に着かないかな。って内心思いながらも本音を隠すことに意識を集中させる。
味方じゃない。味方じゃない。味方じゃない。
呪文のように三度唱えて敵視する。
「あたしは、まだ未成年だから」
「それ言われちゃうと困っちゃうね」
「ごめんなさい」
自分のやっている事を棚に上げてこの人の事を否定するのはおかしな話だけど、そうでもしないと引きずり込まれる。
この人もそれを分かった上で今はやんわりと了承してくれてるけど、いつまで持つか分からない。
いつまでも未成年で居られない。
子供扱いは嫌だけど、大人にはなりたくない。曖昧なままで生きていたいのにいつかは迎える。
その境界線を越えたとき、あたしは墜ちていく。
「じゃあこの辺でいい?まだ仕事あるんだ。今度ごはんでも行こうね。おやすみリオちゃん」
「おやすみなさい」
やっと解放された、と安堵して自宅に逃げ込む。
いつもではないけど、あの人と顔を合わせた途端にあたしはカモ側になるから苦手でしょうがない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます