第18話
食事を終えてファミレスから出ると随分と時間が経っていたらしい。ボーっとしてたからかもしれないけど、ファミレスに3時間はありえない。
決して治安の良いとは言えないこの街に、女の一人歩きは危険が付き物。レイプされたって文句は言えない。
だけどあたしは絶対的な安全地帯に身を置くから、そこだけはヒロに感謝してる。その効果が発揮出来る場は限られているとしても……
――カモを釣る餌を食べてしまうバカな奴は居ない。
「リオちゃん?」
「……うん」
夜道を歩いていると前方から声を掛けられた。
逆光で顔は認識出来なかったけど、そういう風に声を掛けてくるのはあの人の仲間だってことは判断できたから頷く。
「どうしたの?こんな時間に」
「ごはん食べてたの」
「あぁ、ごはんか」
艶のある黒髪は無造作に掻き上げられ、切れ長な目元にインテリっぽい雰囲気を感じる。言葉遣いが丁寧で一瞬だけその優しさに勘違いしちゃうけど、この人も立派な悪人。ヒロとは比べ物にならない程、云わば民衆の敵。
真っ黒なスーツ姿で闇に溶け込む。
油断すれば足元を掬われて墜ちていく。
「そっちこそ、どうしたの?」
「俺?仕事だよ。すぐそこで回収してた」
「そう」
闇金融を生業としているとは思えないくらい、その風貌は爽やかで紳士的だ。でも騙されちゃいけない。
この人はヤクザだから。
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