第7話

「か、金は出さないぞ。その女に渡した!合意の上でのことだ!」


「は?合意?なにそれ」


「え?」


「合意って意味分かるか?あの女がお前と"セックスしてもいい"って一言でも言ったか?知ってんだぞ、お前が一方的に声掛けて連れ込んだって事。なんなら見るか?」


そう言ってポケットからスマホを取り出し、オッサンに見せつける影は高らかに笑って「証拠だな」と肩に腕を回した。


動画らしきものが映されている画面には、あたしとオッサンのやり取りがあったんだろう。


合意だと言うけど、確かにあたしは何も言ってない。

ただ繁華街でボーっと突っ立ってたらオッサンが声を掛けてきた。


いくら?と聞かれても何も答えず、笑みを浮かべただけでオッサンは合意だと判断したのか、ラブホに連れて行っただけ。都合よく解釈したのはオッサンの方だから。


――だから、あたしは悪くないの。


例えそれが"計算"の上であったとしても、あたしはただオッサンとセックスして、お金を貰って、裏路地を歩いてただけ。影が出てきたのも、今こうして強請られてるのもあたしには関係ないし、悪くない。


ただ、あたしに声を掛けた時点で運が悪かったんだと、自分のツキの悪さを恨めばいいよ。

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