第6話

「――なぁ、聞いてんだけど?」


トン、と肩を叩く手にオッサンは声を震わせ「なにがだ」と怯えた目で影を見る。それがなんだか親に打たれる子供みたいに怯えるオッサンが哀れに見えてきた。


「女子高生とラブホでいかがわしい事してたクセに、何がだぁ?それ分かって言ってんの?」


「そ、それは……」


「知ってて手ぇ出したんだろ?まさか知りませんでした、なんて冗談言わねぇよな?」


「ち、違う!」


「だったら、分かってんだろ?」


トントンと肩を叩いて手を差し出す影にオッサンが怯むかと思えば、急に目付きを変えて睨んできた。


「お、お前等美人局か!?」


「あぁ?」


一瞬だけ開き直った態度を見せたけど、自分の置かれてる状況を理解したのか周囲を見回して口を固く閉ざした。


「先に援交したのはテメェだろうが。棚に上げてとやかく言ってんな、ハゲ」


――援助交際は事実だし、あたしのポケットにはその見返りの3万円が入ってる。


どう言い訳をしても未成年であるあたしを買ったことは変えられない。今更そんなことはしていない、なんて言えないんだから早く諦めてしまえばいいのに。

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