第6話
片時も離れずにリオの傍にいた。
いつまでも一緒にはいられないと分かっていても、なかなか行動に移せなかった。
蒸し暑さがリオの身体を蝕んでいくのを食い止めるためには俺がやらなきゃならない。
「……リオ、始めるね」
すっかり体温が下がった頬を撫で、冷たく乾いた唇に自分の唇を重ねた。
おとぎ話であれば、目覚めるのに。
「痛いことして、ごめんね」
何一つ欠けることなく仕舞いたかった。
それがリオの望みでも、俺には許しがたいことだった。
欠けた部分を隠すように一緒にぬいぐるみを入れてあげた。
「ノースマイル、か」
フィルムに残るリオは笑ってはくれない。
大きなドラム缶にすっぽりと入る、小さな体に別れを告げ、閉ざした。
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