第4話

――リオが眠りに就く少し前。


予め用意しておいた睡眠薬をビールに仕込み、酒と薬で眠らせた。


苦痛のない最期を。

リオは綺麗なまま死ぬのを望んだ。


――人間は剥製にならないのかな


あの剥製を見て思ったことはきっと本音だった。

俺だって出来ることなら剥製にでもして残しておきたかった。


でもそんなことをすれば、あのハイエナ共がいつまでもリオを求める。だから俺の手で綺麗に消してあげると約束した。


俺の腕の中で眠りに就いたリオに「愛してる」と囁く。意識はなくても聞こえていればいい。


好きだった、なんて過去形で終わらせる酷い女でも、俺は愛しいと思う。


永遠に俺を味方に付けておきながら、俺の事は置き去りにする酷い女だけど、それでも愛しい女なんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る