第3話

リオには事前に頼まれていた。


アパートに来る時には、もう既に決めていたのだろう。全てを終わらせる唯一の方法は、自分が消えることだと。


俺は殺しはやらない。

だけど、リオだけは自分に殺させてくれと、頼んだのは冗談ではなかった。


最初こそは自分の所為にさせるためだった。


でも今は違う。

リオがそう望むなら、俺は否定はしない。


生きていて欲しいと願うことが、リオを否定することになるのなら。いっその事、自分の手で生を終える方がいい。


自分で自分を苦しめなくていいように、俺が楽にさせてあげようと思った。


もちろん、リオもそう望んだ。


十分苦しんだリオに自由になってほしい反面、まだそばにいて欲しい気持ちもあった。


苦渋の決断だった。

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