第6話
「仕事させてください」
「触るな」
それでもあたしはしつこく手を伸ばしたけど男は何度も手を払い除ける。
だけど痺れを切らせたのか、それともうんざりしたのか。男は壁に掛けられた道具を取ってあたしの両腕を拘束する。
「なにしてんだ」
「そういうぷれい」
「は?」
「えすえむ?」
両腕を拘束されたのでベッドに寝転び、股を開くと男は額を押さえ「どうしようもねぇな」と呟いた。
「いいか?俺に何もしなくていい。俺もお前に何もするつもりはない」
「どうして?」
「ヤるつもりで来たわけじゃねぇ」
「どうして?」
「仕事の付き合いだ」
「仕事?お客も仕事しにきたの?じゃあこれ練習?」
「練習?」
「うん。男の新人さんが来たら相手して仕事教えるのたまにやる」
「セックスを教えるのか?」
「せっくす?なにそれ」
「お前がしてることだよ」
「違う、これ仕事」
「仕事、ね」
「だからお客は仕事仲間ってこと。練習ちゃんとしないと怒られるよ。餌貰えないと死んじゃうよ」
ほら、と股を広げて男を呼ぶあたしを見下ろして片膝をベッドに乗せる。
「病気持ちじゃねぇだろうな」
「あたしびょーきない。びょーきしたら仕事させてもらえない。餌もらえない、死ぬだけ」
はぁ、と息を吐いて「恐ろしいトコだな此処は」と、開いた股に手を伸ばしてようやく練習を始めた。
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