第3話
ベニヤ板で仕切りを作っていくつものベッドが並ぶこの部屋は仕事場だ。
カーテンがドア代わり。
そのドアが開いたらあたしは仕事をしないといけない。
足を揺らせばジャラジャラと鎖が音を立てる。
この音が妙に心地いい。
周りの音を掻き消してくれるから、客が来るまで足を揺らし続ける。
「今日は隣がネェさんだから、やだなぁ」
声が大きいし、死なないのに「死ぬぅ」とイヤラシイ声を上げる。
ギシギシと今にも壊れそうなベッドが軋む音と、先輩達の耳に付く甘い声、咽るくらい充満した匂い。
いつまで経っても慣れやしない。
大きく息を吐き捨て客が来るのを待つと、先ほどの男があたしと同じように息を吐き捨てて戻ってきた。
「お客なの?」
「は?誰がテメーみたいなメス豚とヤるかよ」
足元に屈んで鍵を外す男は本当にあたしを汚いモノとしか思ってないみたいで、髪を掴んで立ち上がらせた。
「VIPルームで客が待ってる」
「びっぷるーむ?」
「黙って歩け」
びっぷるーむってのは初耳だ。
なんなんだろう。
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