第117話
「昨年の夏は私の赴任先も西浜学園が夏に甲子園の土を踏んだから、当初は春樹と行く予定だった北海道へ行くことができなかったんだ。春樹が北海道へ行っている間は甲子園での全校応援に同行。鉄道研究部も甲子園での全校応援に参加した。この年の大会は瑞希先生の次男坊の光良がケガで戦線離脱の間にエースナンバーをもらった谷本光がエース、背番号18をもらって2番目のエースとしてチームに貢献した瑞希先生の三男坊の光輔がチームに貢献。更には中学生年代の侍ジャパンメンバーにもなった高畑優が1年生で入学してエースナンバー獲得のライバルとして名乗りをあげてきて最終的にはエースナンバーこそもらえなかったが、背番号20をもらってチームの3番目のエースとしてチームに貢献。野球部史上最強チームで地方大会を戦ってチームは甲子園への出場切符を獲ったんだ。チームも甲子園への出場での春夏通じての過去最高成績となるベスト8にまで勝ち進んだ。チームが敗れる結果となった鹿児島県から出場の神山学院との試合には春樹も甲子園への応援に駆けつけたんだ。野球部が順調にベスト8にまで勝ち上がったことから鉄道研究部は関西の私鉄の研究も少しばかりできて、過去に使われていた阪神と阪急との間の引き込み線の線路も研究できたんだ。おそらく、阪急がなにわ筋連絡線を開業すれば、車両の点検のために検車場にまで車両を運ぶ際に、近鉄の橿原神宮前駅の台車交換施設を経由しての移動となるため、阪神とも協力関係は必要となり、阪神と阪急との間の引き込み線の利用も今後は行われるのではと思われるね。」
と麗奈が昨年の夏に北海道へ行けなかったことの思い出話をした。
「僕も鉄道研究部と一緒に阪急と阪神を結ぶ引き込み線を見に行ったよ。少しばかり大回りとなるけど、トラックでの深夜の陸上輸送とは比べて手間は省けるのではないのかな。」
と春樹は昨年の夏に甲子園への応援に行ったときの鉄道研究部との線路研究に関心を示す発言をした。
「そう言ってるけど。はるくん。実は、近鉄とJRの引き込み線。なかったのでは?」
と麗奈が問いただした。
「調べたら、確かにないよ。だから、今の線路の実情では、なにわ筋連絡線から阪急の車両を検車場にまで運ぶ際はトラックでの深夜の陸上輸送となるはずだ。そうなれば、コストもかかるね。だが、捨てる神あれば拾う神あり。ウワサによると、近鉄とJRの相互乗り入れの計画があるとの話があるみたいだ。もちろん、相互乗り入れとなれば、線路の規格は同じでなければいけない。現在、天王寺からの相互乗り入れで吉野方面行きの利便性が良くなるとのことみたいだ。天王寺からの吉野方面行きの乗り換え最寄り駅は近鉄阿倍野橋駅で、JR 天王寺駅からは目と鼻の先に駅があるんだけど、乗り継ぎ連絡では一度天王寺駅の改札を出て、駅舎から道路を挟んで隣のあべのハルカスの中に入って、その建物内の乗り換え連絡口を通って近鉄阿倍野橋駅へと連絡するルートとなってるんだよ。連絡するルートさえわかれば、地下鉄と比べたら乗り換えはわかりやすいみたいだけどね。だけど、近鉄南大阪線の沿線の利用者からは天王寺での乗り換えの利便性が悪いとの声が多いみたいだ。天王寺でのJR との相互乗り入れができれば、吉野方面から新大阪への利便性も良くなると思えるね。もしかしたら、吉野方面行きの特急の青のシンフォニーやさくらライナーが新大阪まで乗り入れる可能性もあると思えるね。関西の私鉄の立ち位置から考えると、なにわ筋線計画が出た時点で私鉄各社は利便性向上へ向けて作戦を練ってきたと思うね。なにわ筋線構想に参加しない阪神と京阪の2社は、阪神については近鉄との相互乗り入れで阪神の路線を難波に乗り入れて神戸から難波を経由して近鉄奈良駅までの直通運転を始めた。京阪にしてもなにわ筋線の乗り換え連絡駅としての中之島の利便性が上がるとの期待が大きい。近鉄にしても阪神との相互乗り入れはメリットが大きい。南海はJR と線路の規格が同じだから、新大阪から関西空港行きのラピートの新大阪乗り入れや高野山への特急の新大阪への乗り入れでインバウンド利用の顧客獲得でメリットが大きい。そういった中で、阪急だけが蚊帳の外に置かれたように思われた。だから、阪急の沿線の利用者からは、なにわ筋線ができても、この構想に阪急の参加がなかったら、梅田や新大阪への乗り換えで不便を強いられてしまう。そういった危機感があったんだと思うね。だから、梅田から十三を経由して新大阪を結ぶなにわ筋連絡線を新設してJR と同じ線路の規格で運行したいと国土交通省に申し出た。その申し出が通ったんだよ。これ、今後のロシアが主張するシベリア鉄道の北海道延伸構想ではロシアに有利な展開に傾く可能性もあるかもしれないね。」
と春樹は補足した。
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