第116話

「ここまで各駅停車の本数を減らされると電車を利用する高校生の通学事情となるだろうか。ワタシの出身地の稚内にも高校はある。ワタシは中学生までしか稚内で過ごしていないけど、子供の頃からの付き合いの友達は大半が地元の稚内の高校へ進学したんだ。今回の九州の鉄道の事情は、以前にはるくんが調べてくれていたけど、県境を挟んでバス路線が分断されているけど、高校への通学については基本として公立校のケースが多く、バス路線がカバーして影響はないんだそうな。稚内のケースでは宗谷本線の沿線の地域から列車で通学する高校生は結構多いみたいだ。今は特急を含めても1日4往復で、特急料金の追加料金がかかるものの特急を利用しての高校生の通学も聞くようになった。紀勢線の沿線の周参見から串本までの区間でも串本には高校があり、周参見方面からの通学の高校生もいるんだそうだよね。そっちの事情についても、はるくん、調べてくれていたけど、こちらについては基本として串本町の中のバス路線の事情では、大分県と宮崎県の県境を結ぶ日豊本線の佐伯と延岡の間の区間のようにバス路線で高校生の通学をカバーできそうだと聞いた。しかし、すさみ町からでは利便性は悪くなり、各駅停車の本数を著しく減らされてしまうと通学で特急を利用ということも考えられそうな気がするね。」

と江麗奈が言った。

「今後の課題は高校生の通学事情だろうね。人口減少対策では、あの手この手だ。当然、江麗奈ちゃんが言っていた婚活というのも1つのアイデアだと思われる。だが、婚活は事件を誘発する副作用も伴う。むしろ、外国人の移住規則の更なるルール緩和が必要となるでしょうね。今後の日本の経済状況から見て、労働力として外国人を増やすのは仕方がない判断だと見るね。特に、バスやトラックの運転手の業界は慢性的な人手不足となっているみたいだ。今後は物流を巡って鉄道の需要は増えると思われそうだ。だが、既に貨物の取り扱いをやめた鉄道路線については、そちらの方面への貨物列車の運行再開というのは難しいのではないのかと思われるね。」

と春樹は言った。

「そういえば、お父さんから聞いた話だけど、以前は稚内の近くまで貨物列車が来ていた時代があったようだ。今は旭川より北は貨物列車は来なくなった。貨物列車が来なくなった路線の大半は再び貨物列車が来ることはないのではとも言っていた。稚内方面の場合はロシアとの国境に面していることから、ロシアが主張しているシベリア鉄道の北海道延伸計画が実現すれば貨物列車が来ると思われる。と聞いたことがあるね。」

と江麗奈が言った。

「バスやトラックの運転手不足の問題。最終的には、そういうシナリオとなりそうだな。」

と麗奈が答えた。

「おそらく、こういうシナリオとなる公算が強そうだな。しかしながら、日本側はロシアが主張するシベリア鉄道北海道延伸構想には消極的だと思われるね。江麗奈ちゃんは小田急の特急に乗り合わせていなかったんで初めて聞く話となるが、日本国内においてもJR と私鉄で線路の規格が違う路線が存在する。関東ではJR と私鉄の相互乗り入れのうち、京急、京成、京王の3社の区間の相互乗り入れはできない。私鉄同士でもJRとの線路の規格が違う京王については京急と京成の2社とも線路の規格が違うため、京王との線路の規格がが合う地下鉄路線のみの相互乗り入れとなってるみたいだ。ちなみに、京急と京成の2社は線路の規格が同じため相互乗り入れしているんだよ。一般的には関東の主要私鉄路線はJRとの線路の規格が同じためJR との相互乗り入れができ、JRとの相互乗り入れを現時点では行われていない西武にしても今後の動向次第では相互乗り入れは可能で、西武から新車を受注される場合に備えてJR と西武の路線を接続する引き込み線があるくらいだ。一方、関西の主要私鉄路線はJRと線路の規格が一般的には異なるようだ。JRとの線路の規格が同じ私鉄の路線は南海の全線と近鉄の一部路線となっているんだそうな。ここ最近の話となるが、和歌山方面行きの特急くろしおや関西空港行きの特急はるかが大阪駅に乗り入れするようになったんだ。今後は大阪環状線の円の中を南北に横切って難波を経由して天王寺に抜ける路線ができる見込みだ。この路線ができれば、JR と南海の相互乗り入れが実現され、新大阪から南海の線路に乗り入れて特急ラピートが関西空港に乗り入れたり、今までは難波が始発で、始発の難波か南海とJRとの乗り継ぎ連絡駅となっている新今宮のどちらかの駅で乗り継いででないと新大阪から高野山に行くことができなかった高野山への新大阪からの直通便の実現も夢ではない状況となるんだよ。しかし、この話にJRとの線路の規格が違う阪急が新大阪から十三を経由して梅田に出るなにわ筋連絡線計画を国土交通省に申請。それも、JRとの線路の規格が同じで建設したいとの申し出があり、それが受理された。関東の私鉄の路線でも京王はJR と線路の規格が異なるのに、渋谷から吉祥寺までの区間の井の頭線についてはJR と線路の規格が同じなんだよ。京王井の頭線は小田急が乗り入れている下北沢にも乗り入れており、小田急はJRとの線路の規格が同じであるため、かつては京王井の頭線と小田急線との間の引き込み線があったとの話も聞くくらいだ。今後は阪急もJRとの線路の規格が違う路線と同じ路線の2つの路線ができる見込みだ。フリーゲージトレイン構想は頓挫したけど、今回のなにわ筋連絡線計画での阪急の動きは、シベリア鉄道の北海道延伸構想に風穴を開ける事件にもなるのではないのかとも思われそうだ。近鉄の場合は、橿原神宮前駅の構内にJR と同じ路線の規格の台車とJRとの規格とは違う路線が乗り入れる規格の台車と交換ができる台車交換施設があるんだよ。JR と同じ路線の規格の路線の車両を検査場に出す時に不便を強いられそうだな。その時に、簡単に台車交換ができる設備を持っている近鉄との協力が必要になるのかな。ちなみに、関西の私鉄の路線でも近鉄と阪神は双方共に線路の規格が同じであるため、相互乗り入れをしてるんだそうな。将来的に、ロシアが主張するシベリア鉄道の北海道延伸構想が実現するかどうかの行方は、国内の鉄道事情では関西の鉄道事情ではないのかと思われそうだ。」

と春樹は説明した。

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