第105話
季節は進んで木枯らしが吹く季節へとなった。12月に入り、クリスマスイルミネーションで夜の街もライトアップされて空が暗くなりだすとクリスマスイルミネーションの灯も美しい街並みとなった。貴子も名古屋でのサッカー観戦から帰ってきた翌日のジムでの練習で年明けの1月20日に後楽園ホールで有美子との元同門対決での対戦をすることが正式に伝えられた。そんな中、ジムでの練習が厳しくなる中ではありながら、12月最初の週末明けの月曜日に仕事が休みになったちえみから貴子のスマホにメールが届いた。
夕方5時半に品川駅高輪口で会おう。
夜は大井競馬場で競馬観戦しようよ。
ちえみ
との内容だった。貴子は当初はジムでの練習の予定だったが、ちえみからのメールが届いたのが午前中だったため、ジムのトレーナーの有美に今日の練習を休むとの連絡。連絡を受けた有美は、ここ最近は練習漬けだったから気晴らしも必要と判断。練習を休んで、いとことの競馬観戦に行くことを了承した。連絡を終えた貴子はちえみとの待ち合わせ場所となっている品川へと京急線で移動。品川へ着いた時には空は真っ暗となり、クリスマスイルミネーションの光がきれいに輝いていた。ちえみと落ちあった貴子はバスで大井競馬場へ移動。移動中のバスの中での出来事だった。
「たかちゃん。年明けに試合だってね。聞いたよ。元同門との対戦だってね。同門だった選手同士の対戦だとバチバチの勝負になるとの話。よく聞くよ。試合には勝ってほしいけど、KOされずに無事にリングから帰ってきてね。」
とちえみが言った。
「そういえば、思い出した。私が初防衛戦を戦った時期にリング禍があったこと。そういえば、プロデビューから2試合連続KO勝利でB級に昇進した女子高生ボクサーが初めて6回戦の試合を戦ったが、KOで敗れたことを思い出した。私は実際には、この試合は観戦していないけど敗れた選手。試合終了後に意識を失ってしまい最終的には担架で運ばれて救急搬送されたんだってね。それから1週間後に18歳の若さで亡くなったと聞いた。彼女が通っていた通信制の高校。品川にあるよね。今回の試合は心配なんだね。試合はがんばる。KOされないように。」
と貴子は答えた。そう言ってるうちにバスは大井競馬場のバス停へと到着した。大井競馬場へと到着した貴子とちえみはレース観戦の前に競馬場内にあるレストランで夕食を済ませてからレース観戦を楽しんだ。メインレース終了後、ちえみは準メインのレースで当たり馬券が出たので貴子と共に馬券売り場へ向かい馬券の払戻金を受け取った。品川への帰りのバスでは、
「今日のレースはうまくいかなかった。少しばかり、損したなー。」
とちえみはつぶやいた。
クリスマスイブが近づいたころだった。美容院の仕事の最中に1件のメールがスマホに届いた。仕事が一段落して自分の部屋に戻り、メールを確認すると江麗奈からのメールだった。
ロシア人のいとこのニーナがユジノサハリンスクから明日来日する連絡があった。クリスマス休暇を利用しての来日で1週間ほど滞在する。今度の土曜日、私とニーナと貴子の3人で秋葉原へ行こうよ。
EЯENA
このメールを見た貴子は母親ののりこと相談。
「今度の土曜日、江麗奈から秋葉原へ行こうよとのメールが届いた。久々に江麗奈と会えるから行ってもいい。」
と聞くと、
「そういえば、江麗奈ちゃんとは半年以上も会っていなかったよね。美容院の仕事は1人でできそうだから久々に江麗奈ちゃんと一緒に東京で楽しんできたら。江麗奈ちゃんのいとこも久々にロシアから来日するんだってね。いい国際交流の機会だと思うよ。」
とのりこは貴子の久々の江麗奈との再会を歓迎した。
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