第101話
「私のジム。日々の練習風景や所属選手の試合を動画サイトで公開してるんだよ。ちなみに、試合の場面については、会場によっては動画撮影が禁止されている会場もあったりするのでできない場合もあるけどね。貴子ちゃんが来てくれたんで、ちょっとしたひらめきがあったんだよ。4年前まで現役のプロボクサーだったんだけど、当時試合で着ていたセーラーマーズのコスチューム。また、着てみたくなったな。東洋太平洋タイトルマッチでの貴子ちゃんのリングコスチュームも良かったね。今度、出稽古に来る機会があったら、東洋太平洋タイトルマッチで着たリングコスチューム持ってきてくれる。」
と理佐子が聞くと、
「いいですね。比べてみましょうよ。」
と貴子は答えた。
「ビデオカメラも持ってきたんで、貴子ちゃん。私とスパーリングしましょう。」
と理佐子が言うと、
「はい。やりましょう。」
と貴子は答えた。それを聞いた理佐子はサンドバック打ちの練習をしていたさやかを呼んだ。
「さやかちゃん。私たちがスパーリングする場面。撮ってくれる。」
と頼み、しばらくしてから貴子と理佐子の1ラウンド2分2ラウンドのスパーリングをした。スパーリングが終わってから、
「さやかちゃん。私たちのスパーリングの動画。撮れた。」
と理佐子が聞くと、
「撮れたよ。」
と、さやかが答えた。
「練習が終わったら、ジムの動画サイトに掲載するから。帰ったら観てね。今度、出稽古。いつ来るの。」
と理佐子が貴子に聞くと、
「まだ、決めてないね。ちなみに、来週の日曜日は江麗奈の再起戦を後楽園ホールへ観に行く予定なんだ。」
と答えた。
「来週は、うちのジムの選手。男子選手1人が試合をする予定になっているんでセコンドにも入る予定。会えると思うよ。来週の日曜日。後楽園ホールで会おう。」
と理佐子が言うと、
「会えたらいいね。」
と貴子は答えた。セーラーマーズジムでの貴子の出稽古は動画サイトの撮影もあったりと楽しい1日であった。
あれから1週間後。再び日曜日がやってきた。貴子は江麗奈の再起戦を観に後楽園ホールへと向かっていた。東急線の横浜駅で偶然にも麗奈と再会することとなった。今回も先週と同様に鉄道研究部の生徒たちを引率だった。
「先週、あざみ野駅のバス停で会いましたね。」
と貴子が声を掛けると、
「貴子。今日はどこに行くの。」
と麗奈が聞いたので、
「今日は後楽園ホールへ西村江麗奈の応援に行くの。」
と貴子は答えた。
「麗奈さんは、どちらへ向かうの。」
と貴子が麗奈に聞くと、
「今日は2週間後に控えている文化祭の出し物の調査で蒲田へ行くんだよ。横浜からの場合、普段はJRか京急で蒲田まで直通の電車で移動するんだけど、鉄道研究部の生徒たちの提案から東急線での蒲田への移動となったんだ。」
と答えた。
「私、川崎にいる元同門の選手と新宿で待ち合わせになっているんで、今回は東横線で地下鉄副都心線の新宿三丁目まで乗るんだよ。」
と貴子が言うと、
「貴子も同じ特急に乗るの。」
と麗奈が聞くと、
「そうだよ。」
と貴子は答えた。
「それじゃ、途中まで私たちと同じね。東急大井町線の乗り継ぎ駅の自由が丘まで同じ電車で行こうよ。」
と麗奈が提案したので、
「そうしようよ。」
と貴子は答えた。
貴子は新宿へ向かう電車では麗奈が引率する西浜学園の鉄道研究部と共に途中駅の自由が丘まで同じ電車に乗ることとなった。横浜を出て自由が丘までの電車の道中、日吉に近づく道中で電車の窓から建設中の線路が見えてきた。この線路を見た麗奈は、
「来年あたりには渋谷から新横浜へ東急線の電車で直通できるようになるとの話を聞いた。渋谷から日吉までは東横線を走り、日吉から新しく建設している線路へと分岐して新横浜へと行き、最終的にはJRと相模鉄道が乗り入れる羽沢横浜国大へとつながり、ここから先は相模鉄道で大和まで直通する話になってるみたいだよ。」
と鉄道研究部の生徒たちと貴子に説明した。
「おそらく、はるくんはそのこと知っとるでしょ。」
と貴子が聞くと、
「当然知っとるよ。既に、この路線の工事の進行状況についてははるくんは写メでおさめているよ。今日は午前中は町田から東京メトロ直通のロマンスカーで北千住へと行ってるよ。貴子。ちなみに、はるくん。昼から北海道旅行で知り合った江麗奈ちゃんの応援に後楽園ホールへ行くみたいだから、もしかしたら、会えるかもしれないよ。」
と麗奈は言った。ひょんなことから麗奈と麗奈の生徒たちと共に乗った20分弱の鉄旅はあっという間。電車は自由が丘に到着。電車の扉が開くと、
「貴子。じゃぁ、またね。」
と麗奈は言って自由が丘の駅のホームへと降りて行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます