ROUND5

第33話

ROUND5


 リターンマッチだ!!次なる目標は世界タイトルマッチ


 ①


 初めてのOPBF東洋太平洋タイトル挑戦は黒星に終わってしまった貴子。試合から1週間が経ち、再びジムでの練習を再開した。ジムでの練習が終わってロッカールームに戻った貴子は、自分の着替えが入っているロッカーからスマホを取り出してメールを確認すると、1通のメールが届いていた。メールを開くと、以前は同じジムでの練習していた有美子からのメールだった。



 今度の日曜日。

 私のジムで一緒に練習する?


との内容だった。



 ここのジム。

 一度練習に行きたかったんだ。

 会長さんが来るんだったらスパーリングしたいな。


と、貴子が返事をすると、



 おそらく会長さん、来ると思うよ。

 今度の日曜日。待ってるよ。


との有美子からの返事だった。


 有美子との約束の日が来た。当日は貴子は有美子と新百合ヶ丘駅前のバス停での待ち合わせとなっており、新百合ヶ丘駅の近くのレストランでランチをする約束となっていた。10時近くに家を出発した貴子は地下鉄で、あざみ野まで移動。あざみ野に到着して新百合ヶ丘方面行きのバスを待っていたら、麗奈が声をかけてきた。

「貴子。久しぶりじゃん。」

「東京湾納涼船からの帰りのはるくんの車の中以来だね。」

と貴子が言うと、

「そういえば3か月ぶりだ。元気してた。」

と麗奈が言うと、

「まあ、元気にしてたよ。先月試合したんだけど負けちゃったんだ。今日は川崎の方のジムへ移籍した元同門の選手と新百合ヶ丘で待ち合わせになってるんだ。元同門が移籍したジムにも出稽古に行くんだよ。」

と貴子が答えると、

「そうなんだ。」

と麗奈は答えた。しばらくして、トイレ休憩に行っていた生徒たちがやってくると、ちょうどタイミングよく新百合ヶ丘方面行きのバスが到着。

「赤松先生。バス到着したよ。」

と1人の男子生徒が言った。

「えっ、私と同じバスに乗るの。」

と貴子が言うと、

「そうよ。」

と麗奈は答えた。バスに乗り込むと、新百合ヶ丘への30分間のバス旅を貴子は麗奈の赴任先の高校の生徒たちと共にすることとなった。都会のバス路線らしく乗客の数も多く、つり革につかまって立っている乗客の姿もあった。

「今日は鉄道研究部の活動なの。」

と貴子が聞くと、

「実はそうなんだよ。うちの高校の鉄研の文化祭の出し物について話し合った結果、建設計画がありながら計画が中止されて幻に消えた川崎市の地下鉄計画について研究することとなったんだよ。今回は、これの一環でのバス乗車になるんだ。うちの高校の校舎はあざみ野にあり、今回は小田急線沿線地区からバスで通学している2年生部員のうちの1人が新入生歓迎会の席で計画を発表。他の部員たちも賛同して、これが文化祭の出し物となった。この研究計画。うちの高校の放送部にまで情報が入り、放送部が参加する高校放送コンテストのビデオドキュメント部門のネタとして採用したため、夏までは放送部と共に現地取材を行ったんだ。その成果もあってか。放送部は全国大会で優秀賞を受賞。表彰された。今日は朝のうちは文化祭が終わるまで使用が許可されている放送部の部室となっている放送室で文化祭の出し物のパネルの制作を行い、生徒たちとのハンバーガーショップでのランチを兼ねて横浜市営地下鉄の延伸工事区間となっている路線に沿って運行しているバス路線に乗車することとなったんだよ。」

と麗奈は答えた。そうやって話が盛り上がっているうちにバスは新百合ヶ丘駅前のバス停に到着。貴子と鉄研の一行がバスから降りると、このバスの到着を待っていた有美子と春樹の2人の姿があった。

「有美子。お待たせ。」

と貴子が有美子のところへ行くと、有美子と一緒にいた春樹の姿を見て、

「はるくん。なんで、おまえまでバス待ってるんだよ。」

と貴子が言うと、

「麗奈が引率する鉄研を待っとったんだよ。今から鉄研と一緒に行くから。またな。」

と春樹は言って、麗奈が引率する高校生たちと一緒に新百合ヶ丘の街中へと行ってしまった。

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