第82話
貴子達が乗った船は神津島を出港。貴子達の下田合宿の完全休養日となった伊豆七島巡りの船旅も出発点となった下田へと戻ることとなった。神津島を出港後、船内のプロムナードスペースのボックス席一区画が空席となり、春樹と麗奈のカップルが空席となった一区画を陣取った。しばらくして、貴子と杏奈の2人がトイレから出ると、春樹と麗奈がプロムナード席で座っている姿が目に入った。貴子と杏奈の2人は春樹と麗奈のカップルが座っているプロムナード席へと近づくと、杏奈が春樹に声をかけた。
「春樹君。たかちゃんから春樹君の話、今まで何度かしたことあるから春樹君の名前だけは知ってるんだよ。私、春樹君と会うのは今日が初めてになるんだよ。はじめまして。大久保杏奈です。そういえば、麗奈さんに会うのも今日が初めてなの。はじめまして。」
と自己紹介をした。
「はじめまして。赤松麗奈です。西浜学園高校で社会科の先生をしています。よろしくね。」
と麗奈は杏奈に自己紹介した。
「西浜学園といえば、三井秀美と同僚だってね。」
と杏奈が言った。
「そうよ。だけど、三井先生は3月いっぱいで愛知県の共和学院へと転任することとなっているんだよ。」
と麗奈は答えた。
「そういえば、年明けすぐのジムでの練習で小笠原寛子が私の所属先のジムに出稽古に来た時に話は聞いている。ちょうど、私が西村江麗奈と試合をした時期に三井秀美は現役引退したとの話を聞いた。そういえば、引退後は愛知県の高校のボクシング部の指導にあたるとの話も聞いた。」
とのことを貴子は言った。
「そういえば、たかちゃんと2年前の秋に試合をした長野明美も昨年の秋に、彼女の息子の幸太朗が埼玉西武ライオンズからのドラフト4位指名を機に現役引退することとなったんだって。引退後はスポーツジムのインストラクターとして活動して、娘の友達のプロボクサーを目指している川本茉美の専属トレーナーになるみたい。おそらく、川本茉美の試合では長野明美がセコンドに入るとのウワサらしいよ。」
と杏奈は言った。
「幸太朗君のプロでの活躍も期待したいね。おととしの秋季大会ではケガでスコアラーとしてベンチに帯同していた石井光良君も幸太朗君と共にプロ志願届を提出。光良君はドラフト3位でオリックスバファローズに指名されたんだ。光良君と交際中の小笠原寛子にとっては、関東の球団からのドラフト指名に期待していて、どうも巨人からの指名を期待していたんだけど、残念ながら叶わなかった。ペナントレース期間中は横浜と大阪との間の遠距離恋愛となってしまうけど、休みを取って京セラドームへと応援に行きたいと話していたよ。」
と貴子は言った。
「光良君の弟の光輔君も兄の後を追うようにプロ野球選手を目指して練習に打ち込んでいるんだよ。新チームになって以降の秋季大会では関東大会出場まで残り1勝となる県大会ベスト4で敗退。おととしの関東大会は神奈川県での開催だったから県大会3位まで出場の可能性があったが、今度の大会は関東大会は県外開催だったから県大会で決勝戦まで勝ち上がらないと出場の可能性はなく、2年連続でのセンバツ行きとはならなかった。だけど、チームは冬を乗り越えて春季県大会でも結果は残しているようだから、今後の展開次第では夏の県大会は2年連続でのシード権獲得もあるみたいだとの話を聞いた。今年こそ、夏は久々に甲子園の舞台へと行ってもらいたいとの期待も高いようだ。」
と麗奈は言った。
「そういえば、ここ。甲子園出場のうち、センバツは光良君達が出場したのが初出場だったはずだ。聞いたところによると、夏は甲子園に二度出場経験があるみたいだが、15年ほど甲子園から遠ざかっているみたいだ。今年こそ西浜の三度目の夏の甲子園出場、楽しみだなー。」
と春樹が答えた。
そんな話をしているうちに、貴子達の乗った船は下田へと到着。下田合宿での楽しい完全休養日の1日が終わった。
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