第73話
貴子は、いとこのちえみから北海道旅行に行くことを誘われたとの話をしたら、
「10月の3連休明けの週末明けに行くんだよね。学校によっては文化祭のところもあって中高生の客が少し多めだけど、来店する客は金曜日が中心だと思うから、店の方は1人でなんとかなるよ。行ってきたら。そして、ジムの方も北海道へ行く間は練習を休むから報告もしなきゃね。」
と、貴子の母親ののりこは言った。正式に、ちえみと2人で北海道旅行に行くことが決まった貴子は、ジムでの練習の時にトレーナーの有美にも北海道旅行に行くことを伝えて10月の3連休明けの週末明けに4日間練習を休むことを報告した。
「こっちは、まだまだ暑い日が日中は続くから冬も近いくらいに涼しくなった北海道での紅葉見物もいいと思うよ。私、帯広の方は行ったことないんだけど、いずれはバイクでツーリングしようかと考えているんだ。帰って来たら試合へ向けて本格的な練習に入るけど、ゆっくり楽しんでおいでよ。」
との返事だった。
10月の3連休明けの週末が明けて月曜日から貴子とちえみは2泊3日の北海道ばんえい競馬観戦旅行へと出発。東京から飛行機で帯広に入り、旅行の初日はレース観戦を楽しんだ。帯広駅前の宿泊先のホテルに入ると、
「明日以降は帰りの飛行機の時間まで自由行動となっているんだよ。そこでだ。明日は終日自由行動となっているんで陸別にまで行って足こぎトロッコ楽しもうよ。旅行に行く前にはるくんに相談したら、陸別方面のバスを運行するバス会社の路線は2日間有効のフリーパスがあって、そっちを使う方がレンタカーを利用するよりも安いんだと聞いた。陸別までの移動の車窓から綺麗な紅葉見られるかもしれないよ。」
と、ちえみは言った。旅行の2日目は8時くらいに朝食を食べて9時半あたりにホテルを出る行程となった貴子とちえみ。陸別までの移動の3時間のバス旅では車窓から見える紅葉を写真に撮る一幕もあった。陸別には昼の1時近くに到着となり、目的地に着くとバス停の近くの喫茶店で昼食を済ませた。貴子とちえみの2人は昼食を済ませて、北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線が2006年まで運行されていたが惜しまれながら廃線となった路線の陸別駅の駅舎を再利用した鉄道記念館の『ふるさと銀河線りくべつ鉄道』へと行くこととなった。駅の窓口で足こぎトロッコの利用料金を払った貴子とちえみは秋空の下、足こぎトロッコを楽しんでいた。しばらくすると、動態保存されている列車が陸別駅のホームへ向かって入線する一幕があり、偶然にも足こぎトロッコを楽しんでいた貴子とちえみの前に現れると、直後に列車から貴子とちえみの2人に向かって挨拶代わりの汽笛が列車から鳴らされた。貴子とちえみの2人は足こぎトロッコを駅に返してから列車の前に行くと、春樹と麗奈のカップルの姿があった。実は、この2人も有給休暇を取っての旅行参加であったことを、ちえみは知っていた。
「私達を見て列車から汽笛鳴らすなんて。はるくんだろうと思ったよ。ここ、一般の客に列車の運転体験ができるということで話題のところだよね。」
と、ちえみが聞くと、
「そうだよ。ここでは北見方面に向かって2キロ近い距離を運転できるコースがあるんだよ。彼女も運転体験したいと言うんで、今日は朝早くに帯広を出発して昼前に陸別へ到着。午前中は麗奈が運転体験を楽しみ、昼食を挟んで午後からは僕が運転体験をしていたんだ。ちなみに、初めての運転体験だと長距離の運転体験はできないとのことで、こちらのコースでも運転体験できる証明書を発行してもらうために1回2万円のコースで講習を受けていたんだ。次回来た時には長距離運転体験コースに挑戦するつもり。」
と春樹は答えた。
「これからの予定は?」
と、ちえみが聞くと、
「駅の近くの店で菓子と飲み物を買って4時半くらいまでメーテル号に乗車してゆっくりとしようや。1日乗り放題乗車券だと営業終了時間まで乗り続けても1人500円で乗れるんだ。」
と春樹が言うと、
「久しぶりに、はるくんと会ったことだし。500円の乗り放題切符買って夕方まで、ここで楽しもうよ。」
と貴子は答えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます